あなたの会社のウェブサイトに編集長はいますか?

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2012/08/27


ウェブメディアやウェブサイトの運営に関わっていると、「編集長」ポジションの重要性を感じることがあります。

フィルターを通さずコンテンツがアップされてしまう

これは特に大規模なサイトで顕著ですが、編集長が不在の場合、コンテンツが各部署、各デザイナー、各ライターからバラバラと上がってきてしまい、フォントや色、トーンやマナーの統一感が喪失してしまいがちです。サイト内でフォントの種類やフォントサイズが統一されていない、ということは結構よくあります。

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そういった時、編集長ポジションの人間がいると、掲載されるコンテンツの統一感をかなり出しやすくなります。

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例えばGEのブログ「GE Report」では元ジャーナリストの人材が編集長として採用されており、かなり厳しめのコンテンツ水準を全社的に求めている。せっかくブログのネタをスタッフが出しても、却下、大幅リライトということが頻繁にあるという噂を聞いたことああります。そのおかげで、GE Reportは統一感のある、ハイクオリティなメディアとなっています。

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基本的に、編集長は全てのコンテンツの権限を持っているべきです。これもよくありがちですが、社内政治の関係で編集長の権限が中途半端だと、相変わらず統一感、世界観を演出することは難しくなります。

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編集方針が明文化できる場合は、編集長が不要になることもあります。が、組織が大きくなるとどうしても「ルールの外」が発生してしまうので、やはり人間の編集長を用意する方がベターです。また、ルールに則っているばかりだと、新しい「遊び」「実験」も生まれてきません。


編集長は、少なくともコンテンツやデザインに関して、絶対の権限を持つべきです。広告掲載を一部制限するなど、時には所属企業の金銭的利益に反する判断も行える存在にならないといけません。

編集には、ルールを明文化できない感覚的な部分もあるので、編集長は「あの人が言うんだからしょうがない」といって貰えるような、ある種の権威性を持つ必要があるでしょう。


同じ構図はCGM要素(ユーザー投稿)のあるウェブサービスにも言えるでしょう。特にローンチ当初は、編集機能を経ずにユーザーの投稿を掲載してしまうと、サイトのクオリティ、ユーザー体験の質を下げる危険があります。

例えば、出版の色合いが濃いsynapse.salonは、仕組み的には誰でも使えるものですが、そこにサロンオーナーとして参加できる人たちは、編集長(タムケンさん)によって厳選されているようです。

スケールはそれだけしにくくなりますが、よいコンテンツを始めにじっくり用意することで、結果的に世界観も生まれ、オープン化した際にもクオリティを高めるような空気が醸成されやすいです。


サイトが小さなうちでも、大きなうちでも、「編集」の要素はしっかりと用意しておくべきです。

ウェブメディアの場合は、アクセス解析からのコンテンツ最適化ノウハウなども求められるため、簡単に人材は見つからないとは思いますが、それでも探し続ける、ないしは育てていく努力が求められるでしょう。

それなくしては、ウェブサイトは成長に従って、ごちゃごちゃとした統一感のない存在になってしまいます。


このテーマならこちらの本がとてもお勧め。上で書いていることの大部分は、要するにこの本に書かれています。邦訳はまだ出ていませんが、内容はシンプルで繰り返しも多いので、英語が苦手でもサクっと読めると思われます(ブックレビュー)。

Content Strategy for the Web (Voices That Matter)
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