サッカー:小さなエース左右で2発 U20女子W杯
毎日新聞 2012年08月27日 00時04分(最終更新 08月27日 00時44分)
○日本4−0スイス● (東京・国立競技場)
圧倒的にボールを支配しながら、引いて守るスイスを崩せなかった日本を勝利に導いたのは、右も左も正確性を備える田中陽のフリーキック(FK)だ。
前半30分、自ら倒されて得たゴール正面左のFK。最初は左足で蹴る位置に立ったが、コースを見て「右の方が入りやすい」と、ゆったりとした助走のまま回り込み、右足でゴール左隅に放り込んだ。後半2分には再び自らの突破から正面右でFKを獲得し、今度は左足で壁を越すシュートを決めた。
もともとは右が利き足だったが高校1年の時に左足小指付け根を疲労骨折。左足で踏ん張れない時期に、右を軸足に左のキックを徹底して磨いた。日本サッカー協会が中高一貫でエリートを育成するJFAアカデミー福島の1期生でもあり、福島を訪れた男子代表の中村俊輔やなでしこジャパンの宮間あやのキックも見て研究を重ねた。「性格的にも右だけできるというのは嫌だった。プレーを楽しくするために両方を」という努力が、今では武器に変わっている。