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首相「不退転の覚悟で臨む決意」

BLOGOS編集部

2012年08月24日 20:03

ニコニコ生放送より。 写真一覧
24日夜、領土問題に関して、野田首相が官邸で記者会見を行った。首相の冒頭発言は以下のとおり。

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今月に入ってから、我が国の周辺海域において、我が国の主権に関わる事案が相次いで起こっており、誠に遺憾の極みであります。我が国として、このような行為を看過することはできません。

国家が果たすべき最大の責任、それは、平和を守り、国民の安全を保障することです。国の主権を守り、ふるさとの領土・領海を守ることです。私は国政全体を預かる内閣総理大臣として、この重大な務めを、毅然とした態度で、冷静沈着に果たし、不退転の覚悟で臨む決意であります。

本日は歴史的な経緯や、これまでの対応を振り返りながら、今後、我が国が取るべき基本的な方針について、私自身の考えを国民の皆様に、直接申し述べたいと思います。同時に、様々な事態に政府として引き続き冷静に対応するつもりであり、国民の皆様に、その点、ご安心頂きたいと思います。

まずはじめに、我が国は、世界に冠たる海洋国家であることを確認したいと思います。我が国は、国土面積で言うと世界で61番目の国ですが、領海と排他的経済水域を合わせた管理する海の広さでは世界第6位の大国となります。海の深さを計算に入れた体積では、実に世界第4位に踊り出ます。我が国を広大な海洋国家たらしめているもの、それは、竹島や尖閣諸島も含めまして6,800を超える離島の数々であります。

我が国固有の領土である離島の主権を確保するということは、海洋国家日本の壮大なフロンティアを守るということにほかなりません。今求められているのは、こうした離島に託されている、我が国にとっての重要性をしっかりと見据えることです。そして、与党・野党の垣根を超えたオールジャパンで、我が国として主張すべきことを主張し、進めるべきことを粛々と進める、という姿勢であります。

政権交代以降、民主党を中心とする政権は、これまでの政権の取り組みを基礎として、あるいは、これまでの取り組み以上に数多くの具体的なアクションを積み重ねて参りました。大きく3点を挙げることができます。

第一に、離島の安定的な保全管理です。

離島の中には、必ずしも正確な測量がされず、名前も付けられていない無人島があります。適切な行政措置や、物理的な保全策を着実に進めなければなりません。政府としては、昨年の5月と本年3月、排他的経済水域を画する上で重要となる離島49箇所に名前を付けました。尖閣諸島の4つの小島に名前を付けたのもこの時です。

第二に、周辺海域の警備体制の強化です。

私は去る5月に沖縄を訪問した際、海上保安庁の巡視船を視察しました。尖閣諸島をはじめ、日本の海を守るために命を懸ける海上保安官たちの誇り高き姿がそこにありました。こうした海の守り神たちが円滑に職務を遂行できる環境を常に整えて置かなければなりません。装備や人員の増強を今後とも図っていかなければなりませんが、それに加えて法制面での課題も存在しています。遠方の離島で海上保安官が迅速に対処できるようにするための法改正案が衆議院を通過しています。残された会期内での成立を是非ともお願いしたいと考えております。

また、領土・領海警備の現場での実際の状況を国民のみなさんの目に届けることも重要と考えます。そうした観点に立ち、先般の尖閣諸島での外国人による不法上陸事案に関し、海上保安庁が撮影した映像記録については、今後の領海警備等の業務に支障が生じない範囲で公開することといたします。

第三に、我が国の正当性を対外的に発信する努力です。

本年4月、日本が申請していた大陸棚の延長が国連機関に認められました。国際機関を介して、国際社会に認知されることは、我が国の主張の正当性を訴える上で、極めて有効な方策です。

また、今般、韓国政府に竹島問題を国際司法裁判所に訴えるといった提案を行いました。これは国際社会の理解と支援を得る活動の一環でもあります。今後とも、竹島問題に限らず、我が国の領土・領海を守るための国内外への発信を、私自身が先頭に立って行なって参ります。

今月10日、李明博大統領が竹島に上陸いたしました。一体改革関連法案が成立した日の記者会見で私からも遺憾の意を述べ、その後も外交ルートを通じて抗議をしました。

竹島は歴史的にも、国際法上も日本の領土であることは何の疑いもありません。江戸時代の初期には幕府の免許を受けて竹島が利用されており、遅くとも17世紀半ばには我が国が領有権を確立していました。その後、1905年の閣議決定により竹島を島根県に編入し、領有の意思を再確認いたしました。

韓国側は、我が国よりも前に竹島を実行支配していたと主張していますが、根拠とされている文献の記述は曖昧で、裏付けとなる明確な証拠はありません。戦後、サンフランシスコ平和条約の起草の過程においても、韓国は、日本による竹島の放棄を求めましたが、米国はこの要請を拒否しています。こうした経緯があったにも関わらず、戦後、韓国は、不法な李承晩ラインを一方的に設定し、力を持って不法占拠を開始したのです。

竹島の問題は、歴史認識の文脈で論じるべき問題ではありません。戦後の、韓国政府による一方的な占拠という行為が、国際社会の法と正義に適うのか、という問題であります。韓国側にも言い分があるでしょうが、自国の考える正義を一方的に訴えるだけでは、立場が異なる二つの国の間で建設的な議論は進みません。国際社会の法と正義に照らして、国際司法裁判所の法廷で議論を戦わせ、決着を付けるのが王道であるはずです。韓国政府には、これからも国際法に基づく解決が理に適っていることを粘り強く訴えて参ります。

また、本日、国会から頂いた議決の主旨に対して、我が国の立場の対外発信を強化すると共に、竹島の領土問題に対応する政府の体制強化なども検討してまいります。

なお、尖閣諸島については、歴史的な経緯や状況が竹島とは異なり、同一に論ずることはできませんが、これもまた日本の固有の領土であることに疑いはありません。

そもそも、解決すべき領有権の問題が存在しないという点が大きな違いです。真の支配が及んでいなかったことを確認の上で、明治政府は1895年に尖閣諸島を日本の領土に編入しました。中国が領有権を主張し始めたのは、東シナ海に石油埋蔵の可能性が指摘をされた1970年代以降になってからのことに過ぎません。

尖閣諸島が我が国固有の領土であることは、歴史的にも国際法上も疑いの無いところであり、現に我が国がこれを有効に支配しています。今回のような不正上陸事件を繰り返さないために、政府の総力を上げて情報収集を強化するとともに、周辺海域での監視・警戒に万全を期して参ります。

併せてこの機会に、我が国固有の領土である北方領土についても申し添えたいと思います。

北方領土問題は、全国民の問題であり、我が国の主権に関わる問題であるだけでなく、すでにかなりお年を召された元島民の方々にとって人道上の問題でもあります。法と正義の原則を基礎として、静かな環境の元で、ロシアとの交渉を進めて参ります。

国民の皆さんに置かれては、こうした諸問題に関する基本的な事実関係を広く共有していただきたいと願っております。

私は、我が国の国益を守るために、主張すべきは主張をし、進めるべきことは粛々と進めます。他方、いたずらに国内の強硬な世論を煽って、事態が無用にエスカレートすることは、いずれの国の利益にもなりません。なにより重要なことは、法と正義に基づき、平和的・外交的に問題解決を目指すというアプローチです。国際法に合致したルールに基づく秩序を広げていくことは、海洋国家・日本にとってはもちろん、アジア・太平洋全体の安定と繁栄のためにも不可欠な要素であると信じます。

あわせて当事者同士が、いかなる場合においても大局を見据え、決して冷静さを失わないということも欠かせません。価値を共有する大切なパートナーである、隣国・韓国の賢明な皆さん、主張に違いはあっても、お互いに冷静に対応すべきです。基本的な外交儀礼まで失するような言動や行動は、お互いを傷つけ合うだけで、建設的な結果を生み出しません。韓国側の思慮深く、慎重な対応を期待してやみません。

我が国としてはいずれの問題に関しても、法と正義に基づく解決を求めつつ、冷静な対応に努め、外交上の礼節を重んじ、この地域の将来のために、隣国とともに努力していく決意を、改めて申し上げます。

私の冒頭発言は以上です。

■関連リンク
《竹島の領有権問題に関する日​本の立場を説明》 野田佳彦 ​内閣総理大臣記者会見 - ニコニコ生放送

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