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もとまか日記 このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

2012年06月18日

[][] Retinaディスプレイの感動が「iPhone>iPad>>Mac」な理由から「Retina時代のMac選択」を考えてみた



先日、以下の2つを書いた。


新しいMacBook Airを購入せざるを得なくなった13の理由

実際にMacBook Pro Retinaディスプレイモデルを触ってみて「しまった!」と感じた3つのこと



この中で、非常に不思議だったのが以下だった。


Retina的感動の度合いは「iPhone>iPad>>Mac」な印象


Retinaディスプレイと言っても色々あるわけですが、

どの端末も綺麗なのは確かなのに、こういう印象になるのは何故??


てことで、以下はその辺の疑問を考察してみたメモ。



Retinaディスプレイとは


今更ですが、まずはRetinaディスプレイについておさらい。


速報:WWDC 2010 スティーブ・ジョブズ 基調講演 - Engadget Japanese

Retinaと呼ぶ理由は、人間の網膜が認識できる

上限 300 ppiを超えた326ppiだから。


ただし、反論もある。


iPhone 4「網膜ディスプレイ」は誇大広告:専門家が指摘 « WIRED.jp Archives

目の「網膜ディスプレイ」のより正確な解像度は、

1フィートの距離で477ppiになるとSoneira氏は言う


まあ、色んな意見があるわけですが・・・

重要なのは「本当に網膜の限界を越えていること」ではなく

非常にざっくりでも「人間が知覚出来る以上の解像度」が実現されてること。

それが「Retina」というキーワードの持つ意味、だと思ってます。


簡単に言えば、本当に越えてなくても「見て分からない」なら構わないし、

むしろその方が嬉しいってこともある。

画像や音声の圧縮技術も、そういった感じで進歩してきたと思います。



Retinaディスプレイと関係する機器のPPI


という前置きから、以下はRetinaに関してiPhone、iPad、MacのPPIを比較。


端末解像度(pixel)画面(inch)PPI私の感覚
iPhone 3GS320 x 4803.5163-
iPhone 4/4S640 x 9603.5326元には戻れない
iPad21024 x 7689.71323GSよりは綺麗に感じる
新iPad2048 x 15369.7264出来ればRetina使いたい
MBP131280 x 80013.3113十分綺麗
MBPR2880 x 180015.4220MBP13に戻っても違和感ない

※MBPR:MacBook Pro Retinaディスプレイモデル

※MBP13:MacBook Pro 13型


どうでしょうか・・・・。これは私の感覚なので、人によって違うかも?

基本的にPPIが大きいほど、よりきめ細かいので綺麗に感じるはず、

なんだけど、気になったのがiPhone 3GSとiPad 2とMBP13の比較。

PPI的には一番大きいiPhone 3GSが一番汚く感じてしまい、

むしろ、一番低いMBP13の方が綺麗に感じてしまう。


この事象、要するに「単純にPPIだけでは判断出来ない」ということになる。

同じディスプレイで「遠くだと気がつかないジャギーが近くなら認識出来る」

ということが言えることからも、

「綺麗」という認識はディスプレイまでの視聴距離にも影響される

と考えていいでしょう。



Retinaディスプレイと分解能距離の関係


で、色々と調べてみた結果、以下のサイトがとても参考になりました。

視聴距離計算くん


画面サイズと解像度を入力すると、ppi、ドットピッチ、

最適視聴距離(視野角36度)、目の分解能から見積もられる距離

(1ピクセルを視力1.0で視角1/60度、つまりジョブズの言っていた

「1フィートの距離で見た時の解像度の限界は300ppi」の意味の逆算)

を調べてくれるようです。


このサイトを使って「目の分解能から見積もられる距離」を

「分解能距離」として、先ほどの表に値を入れてみます。


端末解像度(pixel)画面(inch)PPI分解能距離私の感覚
iPhone 3GS320 x 4803.516352cm-
iPhone 4/4S640 x 9603.532626cm元には戻れない
iPad21024 x 7689.713266cm3GSよりは綺麗に感じる
新iPad2048 x 15369.726433cm出来ればRetina使いたい
MBP131280 x 80013.311377cm十分綺麗
MBPR2880 x 180015.422040cmMBP13に戻っても違和感ない

iPhone 4Sの分解能距離は26cmとなっているので、

「1フィート(約30cm)の距離で見た時の解像度の限界は300ppi」

というのにも大体合っていることが確認出来ます。


ただ、これだけだといま一つピンとこないので、

以下で具体例を挙げてみることに。



Retinaディスプレイと視聴距離の最適率


私がiPhoneやiPadやMacを使う時の画面と目の距離を図ったら

大体以下のような感じでした。

iPhone:25cm

iPad:35cm

Mac:50cm


こうしてみると、実はiPhone 4/4Sや新iPadは、実際に使う時の距離と

分解能距離が非常に近いのが分かります。

分解能距離に合う解像度以上のディスプレイが搭載されてても

どうせ目が識別困難なのだから、ぶっちゃけ無意味、と考えると、

あのユーザエクスペリエンスの鬼神のAppleが、新しいiPadで採用している

RetinaディスプレイのPPIがiPhoneのものより低くなっているあたり、

本当によく考えられてるなぁ、と、改めて感心しました。


で、Macの場合だと、実際に使う距離がMBP13とMBPRの

分解能距離の中間くらいだったのが非常に興味深い。

この点についてもう少し分かりやすくするために、先ほどの表に

「最適率」として「実際の視聴距離と分解能距離の関係」を表記してみます。


端末解像度(pixel)画面(inch)PPI分解能距離最適率私の感覚
iPhone 3GS320 x 4803.516352cm48.0%-
iPhone 4/4S640 x 9603.532626cm96.2%元には戻れない
iPad21024 x 7689.713266cm53.0%3GSよりは綺麗に感じる
新iPad2048 x 15369.726433cm106.0%出来ればRetina使いたい
MBP131280 x 80013.311377cm64.9%十分綺麗
MBPR2880 x 180015.422040cm125.0%MBP13に戻っても違和感ない

※最適率:実際の視聴距離/分解能距離

※実際の視聴距離:iPhone=25cm、iPad=35cm、Mac=50cm



最適率が100%なら視聴に最適な距離で綺麗に見えて、

100%以上なら綺麗なんだけど目の分解能的にオーバースペック、

100%以下ならジャギーを認識出来るので汚く見える、というわけです。

同じディスプレイで目を近づける(視聴距離は小さくなる)と、

当然ですが最適率は小さくなります。


MBPRの最適率は125.0%と、普通の距離で使う分には少しオーバースペックで、

「Pro」の名の通り、画面に目を近づけてより細かい部分をチェックするような

まさに「プロ仕様のMac」と言えそう、と思いました。



Retinaの感動の度合いが「iPhone>iPad>>Mac」な理由


で、ようやく本題の以下の件について(前振り長い・・・)


Retinaディスプレイの感動の度合いが「iPhone>iPad>>Mac」



答えだけ書くと「最適率の差が感動の度合いに影響している」が答えなのでしょう。


・・・これだけだと分かり難いので、以下で具体的に。


iPhoneの場合、Retinaと非Retinaの最適率の差が96.2 - 48.0=48.2%、

iPadだとRetinaは100%を越えてる部分は無意味なので、

Retinaと非Retinaの最適率の差は100 - 53.0=47.0%、となります。

若干、iPhoneの方が差が大きいですが、ほぼ似たような感じ。

私はiPadのRetinaを見た時に、iPhoneの時と似たような感覚で感動した、

けど人によっては感覚が様々だったのが少し不思議に思ってました。

その原因は、恐らくiPadの場合は視聴距離に個人差が大きい、ということなのかも。


例として、iPadの視聴距離について考えてみると、

私の場合は35cmだけど、40cmで使う人だとどうなるのかというと、


端末解像度(pixel)画面(inch)PPI分解能距離最適率
iPad21024 x 7689.713266cm60.6%
新iPad2048 x 15369.726433cm121.2%

※視聴距離=40cmの場合


オーバーしてる部分は無意味なので、

Retinaと非Retinaの最適率の差は100 - 60.6=39.4%。


私(47.0%)よりも感じる変化の差が小さいわけです。

これが、iPadのRetinaディスプレイの感動が人によって意見が異なる理由、

なのではないかと。


そしてMacの場合、MBPRとMBP13の差について。

Retinaと非Retinaの最適率の差は100 - 64.9=35.1%、でした。


Retinaディスプレイの感動の度合いが「iPhone>iPad>>Mac」の理由は、

最適率の差が「iPhone(48.2%)>iPad(47.0%)>>Mac(35.1%)」

ということで表現出来そう。

先日、私が感じた事象の意味が、ようやく理解出来た気がしました。


ちなみに、私が常用してるMBA11との比較だと「100 - 76.9=23.1%」

になるので、この影響もあったのかも?

※詳細は後述してます



で、このこと自体はまあその、どうでもいいというか(オイ

単なる私の疑問の解明でしかないんだけど(オイ


今後に向けて最も重要となるのは、以下になります。



Retinaディスプレイ時代のMac選択について


ディスプレイ選択で重要なのは「最適率がどうなのか」と言えるでしょう。

ここを考えるには、単にディスプレイの性能だけを見ても無意味で、

自分が使うのはどれくらいの距離なのか、の把握が重要です。


私の場合は、Macは約50cmの距離で使用してました。

それを意識して、今後に登場するかもしれない?ていうか出て欲しい、

MacBook AirのRetinaモデルを考えてみます。


端末解像度(pixel)画面(inch)PPI分解能距離最適率
MBA111366 x 76811.613565cm76.9%
MBA131440 x 90013.312868cm73.5%
MBPR2880 x 180015.422040cm125.0%
MBAR9(仮)2048 x 15369.726433cm151.5%
MBAR11(仮)2048 x 153611.622040cm125.0%
MBAR11(仮)2880 x 180011.629230cm166.7%
MBAR13(仮)2048 x 153613.319245cm122.2%
MBAR13(仮)2880 x 180013.325634cm147.1%

※MBAR:MacBook Air Retinaディスプレイモデル(仮)



MacBook AirサイズにRetinaディスプレイが搭載されるとしたら、

最もバランスが良いのはMBAR13の2048 x 1536ピクセル、

つまり、新しいiPadの画面を13.3インチに引き延ばしたものが

理想的なバランスを兼ね備えたMacBook Air Retinaモデル、

ということになりそうです。


が、それだと作業域的にマイナス。1024 x 768分のスペースなので。

となると、2880 x 1800ピクセル・・・だと最適率は147.1%に・・・。

ちょっとコストパフォーマンス悪くなりそうな??

これは、非常に難しい!


最初にMacBook Proの15型にRetinaディスプレイが搭載され、

MacBook Airが見送られたのは筐体の再設計が困難だからでは?

と勝手に思ってたけど、実はこの辺のバランスも理由の一つだったのかも?

と思うと、これはなかなか奥深いですねぇ、ほんと。


単純なスペック追求ではなく、道具とそれを使う人の本質を見極めて、

妥協する部分は妥協することでコストパフォーマンスも確保する、

それが出来るのがAppleの強みなのではないか、と改めて感じた次第です。



ここまで書いたことは、あくまでも私の使い方を元にした指標なので

他の人に当てはまるかというと、もちろんそうとは限らないはず。

気になる人は、上の内容を元に、自分の視聴距離や自分の現行端末と、

買い替え対象機種を比較してみるといいかも。



こういった自分なりの数値を抑えておくことにはメリットもあって、


来年以降のWWDCで、何が発表されても怖くない!


準備万端!いつでも!即座に判断!!可能!!!


ポチっと突撃するもしないも、即!判断!!!


いや、これはメリットと言えるのか・・・・?

むしろ財布的にデメリットな気がしなくもな



全てのMacユーザに、幸あれ。



ps

どこか計算違ってたらゴメンナサイm(_ _)m



ps2

上の内容を元に、以下を作ってみました。

Retina時代のデバイス選択を補助するWebアプリ「Retina度チェック」を作ってみました