下記は、大津地方裁判所に提出された訴状内容の「違法性/都市計画法43条違反」である。
第3 違法性
1 都市計画法43条違反
本件病棟が建設される地域は市街化調整区域にあたる。都市計画法43条1項本文には「何人も、市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域内においては、都道府県知事の許可を受けなければ、……建築物を新築し、…また、建築物を改築し、又はその用途を変更して…はならない」と定められている。
同条の趣旨は、市街化調整区域においては、「開発許可」の対象となる「開発行為」(=「土地の区画形質の変更」)には該当しない程度の建築物の新築はもとより、建築物の増築、改築及び用途の変更についても、行政庁(本件では草津市)の建築許可にかからしめることにより、市街化調整区域における建築・開発の防止を徹底しようとしたものである。
本件では、そもそも、県立精神医療センターを従前に設置する際には、(従前の都計法の定めにより)開発許可を受けておらず、その為、本件病棟の立地についての適切な地域説明もなされていない。平成18年都計法改正により、新たに建設を行うに際して、あらためて(権限移譲により、草津市の所管となっている)草津市長の許可を得る必要がある。にもかかわらず、開発許可も建築許可も受けないで、建築確認だけで、本件病棟の建設の着工をしようとしている。このため、草津市としての適切な開発判断引いては立地基準についての地域住民への説明機会すら設けられていない。
本件病棟は、下記2記載の通り、建築物の「新築」に該当することから、少なくとも草津市長の建築許可が必要であることは明らかである。
仮に、「新築」に該当せず、「増築」にとどまるとしたとしても、都計法43条1項本文の「改築」には該当し、建築許可を受けることが必要である。
また、これまでの一般病棟とは、性質も内容も全く異なる、心神喪失者医療観察法に基づいた厳重に管理された拘禁施設を建設するのであるから、「用途の変更」として草津市長の建築許可が必要であることは明らかである。
よって、都市計画法43条1項本文に反する。