昭和天皇が戦犯として処罰されていたら

韓国の学界、日本が歴史問題を清算できない「諸悪の根源」との見解が有力

 日本が歴史問題を清算できないことについて、韓国の学界では、日本の帝国主義の頂点に君臨した昭和天皇が、戦犯としての処罰を免れたためだとの見解が有力だ。

 ソウル大東洋史学科のパク・フン教授は「もし昭和天皇が戦犯として処刑されるか、少なくとも退位させられていたら、もっと多くの関係者が処罰を受けたり、公職から追放されたりし、その後日本国内で戦前の行動に対する批判的な意見が形成される上でもプラスになっただろう」と主張した。

 パク教授は「日本社会での天皇の地位や象徴性を考えると、もし外部の手によって天皇が処罰を受けていたら、その衝撃は計り知れず、相当な変化をもたらしていただろう。過去の歴史に対しても、はるかに前向きになっていたのではないか」と説明した。

 また、北東アジア歴史財団のイ・ウォンウ研究員も「天皇がどのような形であれ、戦犯として処罰を受けていたら、関連文書も全て公開され、その過程で責任者についても判明し、幅広い戦犯の清算が実現していただろう」と主張した。

 イ研究員は「戦争の第1の責任者がそのまま生き残ったことで、ほかの戦犯たちも再び国家の要職に就き、戦犯集団に事実上の免罪符を与える結果となった。昭和天皇が処罰を受け、天皇制が廃止されていれば、日本も民主共和国に移行していた」と指摘した。

 これに対しパク教授は、天皇制については「昭和天皇が処罰を受けたとしても、天皇制は維持されただろう。天皇が日本社会で占める地位は非常に大きいため、昭和天皇の弟や息子が次の天皇となり、制度上は変わらなかったのではないか」との見解を示した。

 一方、国民大国際学部のキム・ソクヨン教授は「昭和天皇に戦争責任を問うことができなかったのは残念だが、日本が歴史問題の清算に失敗した原因を、昭和天皇の不起訴に求めるのは、状況を単純化しすぎている」と指摘した。

 また、韓神大日本学科の河棕文(ハ・ジョンムン)教授も「天皇制が諸悪の根源だというアプローチは、韓国が日本の責任を追及する側面でも、交渉の選択肢を狭めることになりかねない」との見解を示した。

 河教授は「天皇を処罰しなかったこと自体は、歴史の清算が不十分だったことを示すものだが、天皇が処罰されなかったために、現在の指導者たちが歴史問題に対し誤った認識を持っているわけではない」と説明した。

全炳根(チョン・ビョングン)記者
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