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【東京】

孫と別離 原発事故のつらさ感じて 福島在住 詩人の久間さん

キャンプ場で談笑する久間さん(右)と林さん=町田市相原町で

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 福島第一原発事故で一変した生活を詠んだ詩人久間カズコさん(72)の作品の朗読会「ふくしま−懐かしいいのちの声」が九月十五日、八王子市で開かれる。久間さんは福島第一原発から五十五キロの伊達市霊山町で暮らす。詩集を手にした八王子市の女優林洋子さん(81)が提案し、市民の尽力で実現する。 (福岡範行)

 「霊山にホウシャノウがなかったとき/おばあちゃんと外でいっぱい花をつんだよね/霊山にホウシャノウがなかったとき/いとこの大ちゃんと楽しく砂あそびしたよね」

 久間さん宅は避難指示された地域ではないが、孫で同居していた愛弓ちゃん(6つ)や、近くに住んでいた大輝君(5つ)は、県外に自主避難した。震災から一年の今年三月十一日に自費出版した詩集「山百合」には、原発事故で失った、自然の中での孫との生活などを、十五編の詩と日記につづった。

 十年前から交流があり、宮沢賢治作品の一人語り公演を続けている林さんに詩集を送ったところ、共感した林さんが朗読会を提案した。放射能の影響などを学ぶ八王子市民らが実行委員会を組織した。

 今月六〜九日には、実行委メンバーが加わる市民グループが、福島の親子を町田市の野外施設でもてなすイベントを開催した。愛弓ちゃん、大輝君と参加した久間さんは「八王子の多くの人が福島のために何かしたいと思ってくれて、とてもうれしい」と喜び、朗読会について「一人の主婦から見た事故のつらさを感じ取ってもらえれば」と語った。林さんも「来た人に自分の生き方を見直してもらう機会にしてほしい」と呼び掛けた。

 朗読会は午後一時半から、八王子労政会館(明神町三)で。チケットは前売り千円、当日千二百円で、市民放射能測定室「ハカルワカル広場」(八幡町)などで販売。東日本大震災の被災者は無料。収益があれば、福島の子どもらを支援する団体に寄付する。問い合わせは実行委事務局の田中拓哉さん=電080(3774)8022=へ。

 

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