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社説:日韓の対立激化 感情論では前へ進めぬ
韓国の李明博大統領が島根県の竹島(韓国名・独島(トクト))に上陸したことに端を発した日韓両国の対立が、抜き差しならない状況となってきた。
昨日の衆院本会議では、李大統領の竹島上陸と天皇陛下訪韓に絡む謝罪要求発言への抗議決議を賛成多数で可決。竹島の領有権問題を国際司法裁判所に共同提訴することを提案した野田佳彦首相の李大統領宛ての親書については、韓国側が日本政府に送り返すという前代未聞の事態となり、双方の非難合戦はエスカレートする一方だ。
言うまでもなく日韓関係が東アジアの安定に果たす役割は重みを増している。経済などの密接なつながりも考えれば、対立がこれ以上深まって長期化した場合は双方に甚大な不利益が生じることになろう。日韓両国とも感情論を排し、冷静に関係修復策を探るべきである。
それにしても大阪生まれで「親日」「知日」と評されてきた李大統領が、なぜ急に反日姿勢を前面に打ち出してきたのか理解に苦しむ。
2010年の日韓併合100年に際して当時の菅直人首相が「(植民地支配に対して)痛切な反省と心からのおわびの気持ちを表明する」との談話を発表したのに対し、李大統領は「真心のこもった談話だ」と謝意を表明。東日本大震災後の昨年5月には「日本の希望を最大限尊重する」として福島を訪れ、被災者を激励するなど良好な日韓関係をアピールしてきた。
ところが、今月10日に電撃的に竹島に上陸した李大統領は、その後「(天皇が)韓国を訪問したければ、心から謝罪すべきだ」と発言。さらには旧日本軍の従軍慰安婦問題にも言及して日本に「責任ある措置」を要求するなど、手のひらを返したように対日強硬路線に転じた。その背景には何があったのか。
来年2月に任期切れとなる李大統領にとって政権のレームダック(死に体)化が進む中、金融不正事件で親族が逮捕されたことで求心力の著しい低下も指摘されていた。このため、局面打開を狙って「内政を優先して外交を切り捨てた」との見方もある。個人的な思惑や利害絡みで外交方針を転換したとなれば、国際社会からも厳しい評価を受けるのは必然だろう。
日韓関係の悪化は、経済や地方自治体交流などにも暗い影を落としつつある。本県関係では大仙市と友好都市協定を結ぶ韓国・唐津(タンジン)市も交流の暫定的中断を決めた。韓流ブームなどで互いに親近感が高まっていただけに、極めて残念な事態だ。
野田首相は昨日の会見で「大局を見据え、冷静さを失わずに対応していく」と述べた。日本政府が領土問題で毅然(きぜん)とした対応を取るのは当然としても、このまま角を突き合わせていては将来に禍根を残しかねない。年間500万人もが往来する隣国同士である。日韓両国とも未来志向の度量が問われている。
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