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2012年8月25日(土)付

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日本と韓国―非難の応酬に益はない

こんな不毛な非難の応酬を続けていて、いったいだれが得をするというのだ。竹島の領有問題などをめぐってヒートアップした日本と韓国は、いいかげんに頭を冷やすべきだ。かけがえの[記事全文]

中3の労災死―進学せぬ子に支援を

栃木県足利市の中学3年生が今月、群馬県の工事現場でアルバイトをしていて事故に遭い、亡くなった。まだ14歳だった。生徒の中学校は「不登校や学校生活になじめない生徒やその親[記事全文]

日本と韓国―非難の応酬に益はない

 こんな不毛な非難の応酬を続けていて、いったいだれが得をするというのだ。

 竹島の領有問題などをめぐってヒートアップした日本と韓国は、いいかげんに頭を冷やすべきだ。かけがえのない隣国同士である。いつまでも異常な関係を続けるわけにはいかない。

 韓国政府は、野田首相が李明博(イ・ミョンバク)大統領に送った親書を郵便で送り返してきた。

 大統領の竹島上陸に「遺憾の意」を伝えた内容が「容認できない」というのだ。

 だが、いくら気にくわないといっても、首相が署名した書簡を送り返すのは外交上、あまりに礼を失している。とても受け入れるわけにはいかない。

 もっとも、親書を返しにきた韓国大使館の職員を外務省が敷地に入れずに門前払いしたこともまた、大人げないと言われても仕方のない振る舞いだ。

 そんな売りことばに買いことばのようなことを繰り返していたら、問題の本質とはかけ離れたところで両国民の感情に火がつきかねない。

 残念なことに、韓国の新聞を見ると、首をかしげざるを得ない論評が目につく。

 たとえば、日本による領有権問題の国際司法裁判所への提訴について「20世紀初頭に韓国を併合した侵略根性の発露と言わざるを得ない」と書いた主要紙もある。

 韓国の国民は、1905年の竹島の島根県への編入は、5年後の日韓併合への第一歩だと受け止めている。

 こうした歴史に対する思いが背景にあるにしても、韓国人が事務総長を務める国連の主要機関への提訴を「侵略根性の発露」と決めつけられては、多くの日本人は戸惑うばかりだ。

 日本も韓国も、選挙の季節に入りつつある。自民党の谷垣総裁は「野田政権には主権と領土を守る能力が欠如している」と、この問題を理由に早期の衆院解散を求めている。

 しかし、国内政治やメディアの圧力が政権の強硬姿勢の背中を押し、対立をあおる構図は危険きわまりない。

 衆院はきのう、李大統領の竹島上陸を非難し、天皇に対する発言の撤回を求める決議をした。野田首相も発言の撤回と謝罪を求めた。一方で、ともに韓国を「重要な隣国」であるとも表明している。

 領土をめぐる対立が、両国関係全体や東アジアの安定を壊す愚を犯してはならない。むしろこれを奇貨として、戦後の日韓関係に刺さったままのトゲを抜く方向に進めることである。

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中3の労災死―進学せぬ子に支援を

 栃木県足利市の中学3年生が今月、群馬県の工事現場でアルバイトをしていて事故に遭い、亡くなった。まだ14歳だった。

 生徒の中学校は「不登校や学校生活になじめない生徒やその親から申し出があり、職場体験ということにして認めていた」と言っている。

 法や決まりに照らして、中学校や建設会社の判断を認めることはできない。

 市教育委員会によると、同じ建設会社で過去10年間に、4校の中学生計17人が働いていた。労働基準法は中学生を建設業で働かせることを禁じている。

 しかも、その中には授業のある日に働いていた生徒もいた。生徒らは日当をもらっており、教育活動としての「職場体験」にもあたらない。

 ただ、この事件は、学校になじめない子たちに行き場がないという現実を映し出した。

 全国的な調査はないが、不登校の中学生が働いているのは足利市だけではないだろう。

 そうした子たちがなし崩しで働くのではなく、きちんと進路を考えられる場が必要だ。この機会に考えるべきだ。

 労働政策研究・研修機構が、総務省の統計をもとにこんな分析をしている。中卒や高校中退の15〜19歳の子のうち16%は、仕事も就活もしていない。いわゆるニートの状態にある。

 中学生の98%は高校に進学する。就職を見すえたキャリア教育を中学校でするのは難しい。

 大半の公立中が「職場体験」の授業をしているが、多くは年に1〜3日だ。働く意義や自分の将来を考える大切さを学ぶ。そんな入門的な位置づけだ。

 同時に、進学しない2%の生徒への支援も重要だ。

 就職を望む生徒には、ハローワークと手を結んで個別に働き口を紹介している。けれど、どんな仕事をしたいかさえわからずにいる生徒たちは、それだけでは救えない。

 福岡市のNPO「不登校サポートネット」の長阿彌幹生(ちょうあみ・みきお)代表は来年度、地元の経営者と中卒の子たちを集め、「中卒からの就職説明会」を開く計画をたてている。中学生も来られるよう週末に催すつもりだという。

 市教委や市役所も協力してくれるよう働きかける考えだ。

 親に「高校を出ないと就職できない」という思い込みが強いと、子は救われない。中学を出て働く道もあることを、見せたい。長阿彌さんはそう語る。

 こうした取り組みを各地に広げてはどうだろう。子どもたちには、やってみたい仕事と出会える場が必要だ。

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