クローズアップ2012:竹島問題(その2止) 米国、板挟み 対応に苦慮
毎日新聞 2012年08月24日 東京朝刊
◇双方同盟国「中立」を強調
【ワシントン白戸圭一】米政府は、領有権を巡る争いで緊張が高まる東アジア情勢への対応に苦慮している。特に李明博(イミョンバク)大統領の竹島(韓国名・独島(ドクト))上陸による日本と韓国の関係悪化は、同盟国との連携を軸に中国の海洋進出や北朝鮮の核問題に対峙(たいじ)するオバマ政権の安全保障戦略を揺るがしかねない事態だ。日韓のどちらか一方に肩入れすれば問題の「当事者」となり、事態が複雑化するため、米政府は表向きは事態を静観しつつ、関係改善へ向けた仲介外交を水面下で進めるとみられる。
「事柄の性質上、特に米国側の発言について詳しく申し上げることはできない」。訪米中の杉山晋輔・外務省アジア大洋州局長は22日、キャンベル米国務次官補(東アジア・太平洋担当)ら米高官との会談後、記者団に対して同じ言葉を繰り返し、日韓のはざまで対応に苦慮している米政府への配慮を見せた。
内部告発サイト「ウィキリークス」が昨年9月に公表した米機密公電によると、06年4月に谷内正太郎外務事務次官(当時)と会談したシーファー駐日米大使(同)は竹島問題について「日本は国際法の許容範囲内で権利行使している」と述べ、日本の立場に理解を示していた。