2012年08月25日

たまには恋の話でも。パート2

遂に28になってしまった。
それは僕にとって最後に人を好きになってから
13年の時が流れた事を意味する。
その当時、その娘の事を考えると心が暖かくなり、
とても幸せな気分に包まれたものだった。

その後もちょっといいなって思う人は何人かいたが、
結局好きになる所までは行かなかった。

28になった今、これから先、
そんな風に人を好きになる日が来るのだろうか、
と自分でもよくわからない感情がこみ上げて来る。

なので少しここで回想してみたいと思う。

あれは忘れもしない中三の秋、帰宅途中の出来事。
今でもその娘を好きになった瞬間を覚えている。

その日はたまたま、その娘(Kさん)とその親友(Tさん)と3人で帰宅する事に。
Kさんが少し前を歩き、僕とTさんが少し後ろを歩いていた。
そしてKさんが僕らのほうに振り向いて笑った時、僕は恋に落ちた。

うちの学校は水田のど真ん中にあり、
秋は一面黄金の絨毯に囲まれる。

帰宅途中のこの時間、太陽は山あいに沈みゆき、
世界は見渡す限りまばゆい黄金に埋め尽くされていた。

その黄金に彩られた世界の中で笑う彼女は、
とてもとても美しく、
僕はただただ、その姿に見蕩れるだけだった。

この出来事が後に我が人生のターニングポイントとなる。
恋に落ちた僕は彼女に認められたいと、
知的な人間(笑)を目指したのだった。
いわゆる一種の廚二病である。
今までした事が無かった勉強をした。
また今までは娯楽小説しか読まなかったが、
新書やブルーバックスを読むようになった。
その過程で科学に興味を持つようになったし、
勉強したおかげで進学校にも進めた。

現状が良いかどうかはともかく、
彼女がいなければ今の僕は存在しなかっただろう。

そしてこんな風に僕が廚二病を邁進している最中、
ある事件が起きた。

好きになったら当然、相手に好きな人がいるかどうか、
そりゃー寝ても覚めても気になる。
そこでTさんに探りを入れる事にしたのだ。

で、「Kさんってもしかして友人(M)の事が好きなん?」
と鎌をかけてみたら、「イエス」の答えが返ってきた。

当初僕は適当に数人の名前を出して、
相手の反応を伺おうという作戦だった。

が、一発で的中。
マジ、ビックリでありましたよ。

そもそも僕と仲良くしようと思ったのも、
Mと仲良くなりたいがためだったそう。
Mは人を寄せ付けない感じの奴やったからね。

その言葉を聞いた瞬間、僕の希望は潰えた。
きっと告白とかしたら、そこでおしまいなんやろうなって。
もし告白して振られたら、彼女を好きでいる事さえ
許されなくなるような気がした。
だから、この気持ちはずっと胸にしまっておく事にした。

ちなみにこのMには卒業が近づいたある日、
「お前の勝ちや。」と言われた。
「何が」と聞き返したら、「人生や。」と言われた
(僕が進学校、彼が地元の高校に行く事を指して)。
が、実際は真逆だった。
だって僕が好やった彼女が好きだったのは奴やったから。

その一件以降は特に何事もなく、
卒業式まで時計の針は進んで行った。

で、迎えた卒業式。
卒業式が終わった後は友人達とずっとだべっていた。
そしてそろそろ帰るかってなった際、
僕と同じ方向に帰るやつは残っておらず、
一人で帰宅することに。

するとここで奇跡が起きた。
校門近くでKさんとTさんとばったり出くわし、
3人で帰ることになったのだ。

その上さらに道中でTさんが
「肉球ちゃんは今日だれかに告らんの?」
と聞いてきた。
Tさんは僕がKさんを好きな事に気付いてたっぽいので、
「お前、ここで告白しとけ。」という彼女の優しさだったのだろう。

そして立ち止まる僕、
振り返る彼女達。


告白するなら今しかない。


だけれど僕の口から出たのは、
「好きだ。」って言葉じゃなかった。

よく覚えてないけど「用事があるから急いで帰らないと。」
みたいな事を言ってそこからダッシュ。

これでおしまい。
それ以来、一度も会っていない。

あの時、何故「好きだ」の一言が言えなかったのか。

これだけお膳立てが整っていたにも関わらず何も言えなかった。

ただただ、とても怖かった事だけは覚えている。

要は超絶ヘタレチキン野郎だったって事だ。
今も変わらんけど。

過去はすでに色褪せ、一体何を恐れていたのか、
今となっては分からない。

あの時、告白していたら何かが変わっただろうか。

人生は長いのに、たった数秒の出来事が、選択が、
人生を変えて行く。

そんな一瞬一瞬を積み重ねて、
一個の人間と、その世界が形成されていく。

だからこそ、人生は気高く、美しく、そして面白い。

結局、自分の心に残ったのは、
彼女の事が好きだったという事。
月並みだが、何度生まれ変わったとしても、
彼女と出会って恋に落ちたい、そう思えた事。

そんな思い出だけ。

28にもなって、廚二病は未だに治っておりませんな。
おそまつさまでした。
posted by 肉球 at 00:59| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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