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[FT]日中の領土問題は先送りを(社説)

2012/8/22 21:24
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(2012年8月22日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 中国と日本の関係がまた緊迫している。直接の原因は5つの無人島と3つの岩礁をめぐる争いで、日本はこれらを尖閣諸島と呼んで統治し、中国は釣魚島と呼んで領有を主張している。だが真の原因は国の威信、そしてこの問題が戦後処理から外され残されてきたことに関係する。

 先週、香港からこれらの島に航行した14人の活動家らを日本の警察が逮捕、追放した。その後、日本のナショナリストが島を訪問した。中国では日本人の示威行動に怒って少なくとも6都市以上でデモが発生、数千人が行進した成都では「中国が墓で満たされようともわれわれは日本人全員を殺さなければならない」との横断幕がみられた。中国のある将軍は島を守るため100隻の艦船を派遣すべきだと述べた。

 日本ではナショナリストの石原慎太郎東京都知事が所有一族から島を買い取るため寄付を集めている。彼がそれに成功するか、政府が都の代わりに買い取るようなことがあれば、対立は一段と高まる。これは地方の小さなもめ事などではない。

 日本政府によると、米国政府は尖閣諸島が日米安保条約の対象に含まれることを認めている。それは、中国が無謀にも攻撃をしかけた場合には米兵が命をかけてこれら無人島を守ることを意味する。

 日中双方の政府がそれぞれ厳しい姿勢を示すよう国内で強い圧力を受けている。しかし、双方とも緊張を抑える方法を見つけなければならないし、金切り声でナショナリズムを叫ぶ連中の言うことを聞いてはならない。

 両国は良好な関係を維持すべきだ。この紛争をほかの問題と結びつけてはいけない。2010年に日本が島の近くで中国人漁師を逮捕した後、中国は日本の産業に不可欠なレアアース(希土類)の輸出を阻止した。日本も意味のない仕返しを避けなければならない。

 領土と歴史をめぐる問題の解決は容易ではない。トウ小平氏はこうした対立を後のより賢い世代に任せるという方法を提唱した。両国で激しい言葉が噴出しており、そうした知恵はまだどこかへ行ったままだ。問題の先送りはなんら恥じるべきことではない。

(c) The Financial Times Limited 2012. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.

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