■濱野智史(批評家)
3月25日、AKB48のあっちゃんこと前田敦子さんが卒業を宣言した。この日、筆者は発表の場となったさいたまスーパーアリーナにいたのだが、2万5千人のファンが詰めかけた会場は、まるで世界の終わりが来たかのような騒然とした空気に包まれた。
メディアでも大きくこの話題は取り上げられたが、読者の中には、たかがアイドル一人の卒業でここまで大騒ぎする必要があるのかと、苛立(いらだ)つ人もいたのではないだろうか。しかし筆者の考えはその逆である。AKBとあっちゃんの存在は、日本社会にとって深く考察すべき重要な問題を含んでいるのである。