【社説】性犯罪前科者を集中監視する体制構築を急げ

 40代の男がソウル市内の民家に侵入し、そこにいた主婦に乱暴を加えようとしたところ、抵抗されたため凶器で殺害した。犯人は性犯罪の前科者で電子バッジを着用していたが、これは犯行の防止に何の効果もなかった。また、水原でも30代の男が居酒屋で女性経営者を乱暴しようとしたが失敗したため、直後に民家に侵入し、夫を凶器で殺害して妻と息子にも重傷を負わせた。この犯人も性犯罪前科者だったが、電子バッジは着用していなかった。

 法務部(省に相当)は電子バッジ着用者の位置や移動経路を24時間監視している。裁判所は電子バッジ着用命令を下す際、外出を禁じる時間帯や立ち入り禁止区域などを同時に設定する。しかし上記のソウルでの殺人犯は、外出が禁止されていない時間に、立ち入り禁止区域以外の場所で犯行に及んだため、これを阻止することができなかった。法務部は電子バッジ着用者の個人情報を警察に伝えていないため、警察は特別な警戒を行っていない。今回の主婦殺害事件でも警察は「犯人を逮捕した際、電子バッジを着用していたことは分からなかった」とコメントしている。これを受けて電子バッジ着用者の自宅や、その行動などを警察に監視させる必要性が、改めて浮上している。

 電子バッジ着用者が幼稚園や小学校など立ち入り禁止区域に入ったときや、外出禁止時間に外出した場合、法務部の位置追跡管制センターでは警報音が鳴り、その地域の保護監察所から担当者が緊急出動することになっている。しかし、現在電子バッジを着用している609人のうち、裁判所が外出禁止時間や立ち入り禁止区域を設定しているのは205人で、残りの404人に対しては何の制限措置も下されていない。

 昨年性犯罪で逮捕された2万189人の犯人のうち、45.1%に当たる9115人が再犯だった。今回のソウルでの主婦殺害事件の犯人も強姦(ごうかん)の前科3犯で、水原の犯人は強姦の前科2犯だった。裁判所は、性犯罪の前科者に下している外出禁止命令など従来の制限措置を、より一層強化しなければならない。

 米国は刑務所に収監された性犯罪者に対し、その症状に応じて専門家が1対1で治療を行っている。ところが韓国では20人から40人を1カ所に集め、一斉指導をする程度にとどまっている。法務部と警察は性犯罪の前科者を集中管理するための統合システムを、1日も早く構築すべきだ。

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