地下には、狭い慰安所の実物模型もあった。割れた真ちゅうの洗面器と一緒に並べられた軍用の野戦ベッドの上には、来館者から寄せられた慰労のはがきが積み上げられていた。あちこちで、低いため息が漏れた。
早稲田大学に通うアンドウさん(20)は「慰安婦問題については知っていたが、これほどひどいとは思わなかった。日本国民の大多数は、詳しく知らない。歴史的事実を正しく知るためには、もっと努力しなければならないと思う」と語った。
フォーラムの参加者たちは、この日の訪問に先立ち、2日間にわたって討論と対話を繰り広げた。参加者たちは「互いを理解するための良い機会になった」と述べながらも「韓日間の認識の差はまだ小さくないようだ。歴史的事実に対する理解が異なる」と口をそろえた。ところで、日本人参加者7人のうち2人は、日程の途中で帰還した。この2人について、ある中国人学生は「韓日間の過去史の問題が浮き彫りなるのが気まずかったようだ」と語った。
ドイツから参加したリナ・ヨハンナ・エクスナーさん(19)は、次のようにアドバイスした。「論争中の歴史問題で最も重要なのは、被害者の視点だ。ドイツでは『アンネの日記』を学生たちが公演し、自らアンネの役を演じることで、被害者の立場を体験する。悲劇を再び繰り返さないためには、きちんとした歴史教育が先行すべきだと思う」