ひと:岡田卓也さん アジアの「環境人材」育成に乗り出す
毎日新聞 2012年08月15日 00時20分(最終更新 08月15日 09時38分)
「私らは仲介役。学生同士が仲良くなり、アジアの環境政策を担うリーダーが育ってくれれば」
今夏からアジアの「環境人材」の育成に乗り出す。自身が理事長を務める「イオン環境財団」が、母校の早稲田大学と協力して「日中韓学生交流環境フォーラム」を17〜23日に初開催する。参加するのは同大と中国の清華大、韓国の高麗大の計60人。東日本大震災で被災した岩手県田野畑村や世界遺産の中尊寺、京都の鞍馬寺などを訪れながら「環境とは何か」を文化的な面からも考える。「地球と共存しようとする人から直接、話を聞く。現場に学ぶのは商人も同じですよ」
生家は三重県四日市市の老舗呉服店。学徒動員から戻り、敗戦の翌年に早大に復学。学業を続けながら店を再建した。高度経済成長時代、四日市は公害が深刻化した。石油化学コンビナートによる大気汚染が人々の健康を損ない、工業の発達が環境を破壊する様子を目の当たりにした。「原発だってあのころ一斉に建てられた」と振り返る。
スーパーから大手流通企業グループへと組織を拡大させるなかで「21世紀のキーワードは環境」と見定めた。90年末に設立したイオン環境財団ではNGOの支援や植林活動などに力を入れ、中国やインドネシアなどこれまで国内外に970万本以上の木を植えた。
フォーラムは今後10年継続することを決めている。「孫、ひ孫の世代に豊かな地球を残したい」
若者に未来を託す。【明珍美紀】