トップページ政治ニュース一覧“外交上ありえないことは受け入れず”
ニュース詳細

“外交上ありえないことは受け入れず”
8月23日 21時1分

“外交上ありえないことは受け入れず”
K10044936311_1208232143_1208232144.mp4

日本海にある島根県の竹島に韓国のイ・ミョンバク大統領が上陸した問題を巡り、韓国側は、野田総理大臣が大統領に宛てて出した親書を送り返す方針を決め、大使館員を派遣したいと日本側に打診してきましたが、外務省は「外交上ありえないことについては受け入れられない」などとして応じませんでした。

韓国のイ・ミョンバク大統領が島根県の竹島に上陸したことを受けて、野田総理大臣は今月17日、竹島問題を国際法にのっとって平和的に解決することなどを求めた大統領宛ての親書を出しました。
これに対し韓国政府は「内容に事実関係の誤りがある」などとして、親書を日本側に送り返す方針を決め、23日、外務省に東京にある韓国大使館から大使館員を派遣したいという打診がありました。
しかし、外務省は「外交上ありえないことについては受け入れられない」などとして、大使館員の派遣を断り応じませんでした。
その後、韓国の大使館員は外務省を訪れましたが、外務省は敷地の中に入ることを許可しませんでした。
これについて山口外務副大臣は記者会見で、「韓国側から会いたいと電話連絡があったが、目的が分からず、それであれば会うのはまずいという返事をした。親書は受け取らないほうが、全体の流れの中でよいという気持ちはある。親書を返すというのは子どものけんか以下の話だ」と述べました。
今回の韓国側の動きについて政府内では、「感情的な行動で、あまりにも非礼だ」という受け止めが大勢で、政府は、韓国側がさらに挑発的な行動に出てくるのかどうか、慎重に見極めることにしています。

「親書」とは

外務省によりますと、「親書」について法律上の規定はありませんが、一般的には外国との間で取り交わす書簡のうち、天皇陛下や総理大臣、外務大臣などが、外交上、自分と同じレベルの相手に対して送るものをいいます。
今回、野田総理大臣が、韓国のイ・ミョンバク大統領に送った「親書」のように、政治的なメッセージを送る場合もあれば、就任の際に祝意を示すために送る「親書」もあります。
また、「親書」には、差し出す人の署名を添えるのが原則とされています。
相手国を訪れる要人に託される場合もありますが、多くの場合は、まず、両国間の外交ルートを通じて、電報で内容が先方に伝えられ、あとから親書そのものが送付されているということです。
内容については、概要が対外的に説明される場合もありますが、具体的な表現ぶりなどは、外交儀礼上、明らかにされないことになっています。
一方、送った親書をそのまま送り返すという今回のような事態について、外務省の担当者は、「外交儀礼上問題があり、聞いたことがない」と話しています。
去年3月に東日本大震災が発生した際には、アメリカのオバマ大統領が、天皇陛下に宛てて犠牲者への哀悼の意を示すとともに日本への支援を伝える「親書」を出しました。
平成15年には、小泉総理大臣の靖国神社参拝を巡って、日中関係がぎくしゃくするなか、小泉総理大臣が日中関係を今後もより一層発展させたいとする中国の胡錦涛国家主席に宛てた「親書」を、中国を訪れる福田官房長官に託しました。

[関連ニュース]
このページの先頭へ