つなぐ 希望の木
災難を乗り越えてきた木々を、都内に訪ねた。
【社会】双葉町 食事を有料化 旧騎西高 今も210人残る東京電力福島第一原発の事故で埼玉県加須市の旧騎西高校に役場機能ごと避難している福島県双葉町は、同校で暮らす町民に無料で提供されている弁当を、9月1日から有料にすることを決めた。東日本大震災と原発事故関連で残る最後の避難所には、今も約210人が暮らす。多くは高齢や病気などで自立が難しく、自己負担となる1日1000円程度の弁当代も決して軽くはない。 (石井宏昌) 騎西高校は国の災害救助法に基づいて設置された避難所に当たり、光熱費や食事は国費で賄われる。仮設住宅の入居者や自分でアパートを借りるなどした人は、避難所を出たとみなされ対象外となり、町は有料化の理由を「仮設などの町民には食事の無料提供がなく、均衡を図るため」と説明する。 弁当代は現在、一人当たりの三食分が千百九十円。九月以降は希望者に販売し、自己負担額は一日千百円になる。食中毒や火災の心配から、これまで校内での調理は控えてもらってきたが、有料化後は認めるかどうかを検討する。 高校で暮らす町民は昨年四月のピーク時で約千四百人に上ったが、近くにアパートを借りるなどし、現在は約二百十人に減った。ただ残っている半数以上は六十五歳以上で、病弱で介護が必要な人や、その家族が多い。 一方、仮設住宅などで暮らす町民からは「不公平だ」との指摘が出ていた。町議会でも取り上げられ、町は「各地に避難している町民の多くは苦しいながらも自立し、食費や光熱費を賄っている」と理解を求める。 高校に残る高齢の女性は「ここには、仮設住宅やアパートに移れない病弱な高齢者や年金生活者が多い。町がなぜ国の救済を断って有料化するのか。最低限の衣食住を賄えるのが避難所のはずで、一方的な決め方で納得できない」と話した。 PR情報
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