米国の海兵隊と日本の陸上自衛隊が、西太平洋のグアム島一帯で初の島しょ上陸訓練を実施するのに伴い、日米両国と中国との間で緊張が高まっている。
中国は、国営メディアの代表格に当たる人民日報までもが「釣魚島(尖閣諸島)を念頭に置いた訓練」と報じ、一斉に非難した。
21日付産経新聞は、陸上自衛隊が同日から米国領グアム島や北マリアナ諸島に属するテニアン島などで、米海兵隊第3海兵遠征軍(3MEF)と共に島しょ上陸訓練を実施すると報じた。
今回の訓練は、今月初めに米国で行われた森本敏防衛相とレオン・パネッタ国防長官の日米防衛トップ会談で決定したものだ。訓練は来月26日まで37日間にわたり行われる予定で、自衛隊から約40人、米海兵隊から数百人が参加するという。中国・上海の東方早報は、揚陸艦や攻撃用ヘリなども多数動員されると報じた。また人民日報は、日米両国はさまざまな合同軍事訓練を行ってきたが、占領された島を奪還するための上陸訓練を行うのは今回が初めてだと伝えた。
防衛省は、今回の訓練について「特定国を仮想敵国として狙ったものではない」と発表した。しかし人民日報は、防衛省のある官僚が産経新聞に対し「今回の訓練は、尖閣諸島が中国の攻撃を受けたときのことを想定して実施するもの」と語った点を取り上げ、今回の訓練は中国を狙ったものだと分析した。
人民日報は「日本が日米安保条約を信じ、外部の力を引き入れて中国をけん制しようとしているとみられるが、中国の主権守護の意志を過小評価した。これは“つまらぬカード”で、中国の怒りをあおるだけの浅知恵に過ぎない」と批判した。また米国に対しても「中日間の領土紛争に対しあいまいな話法を続けることで、随時日本に関心を表明している」と攻撃した。
人民日報の姉妹紙、環球時報も21日、日本メディアの報道を引用してこのニュースを伝え「釣魚島をめぐる中日間の紛争が激化している状況で、今回の訓練は紛争局面に油を注ぐことになるだろう」と報じた。