グリスの塗り方で放熱効果が変わる!!


 CPUの換装の際に必ずしなければならないのがこの作業です。
どの本を読んでもグリスは薄く均一に塗りましょうと書いてありますが、
手順も明確ではなく、量もわかりません。
紹介する方法はステレオなどのパワーアンプ製造メーカーの作業手順です。

良いグリスの塗り方とは?
 1.隙間を作らないこと
 2.できるだけ密着させること
 3.少ない量で十分な放熱ができること
 4.長期間の実用で乾かないこ

この4つの条件を満足する方法です。
 CPU等の発熱量の多い半導体にも同じ理由で応用できると思いましたので
実験をかねてやってみました。
 CPU全体にグリスを塗ってからヒートシンクを押しつけるのでは
隙間が空いてしまいCPUの熱をヒートシンク十分に伝導できません。
 ステレオなどのパワーアンプ等の電源ICをヒートシンクに取り付ける際は
少な目じゃ十分な放熱ができないし、密着度が悪いためグリスがすぐ乾いて
パサパサになってしまいます。
 半導体が長期時間の高発熱にも耐えられるようにするには紹介する方法が
1番だと私は思っています。もちろんファンの能力もいいに決まってますが。

 とりあえず方法と画像を紹介しますので参考にしてみて下さい。
MMXCPUとセレロンPPGA&FC−PGAについては中央の盛り上がり部分をくりぬいた
バッファ板をサンドしますが、グリスは、くりぬき部分の外周より2mmほど内側に
盛りつけて、押しつけるとうまくいくようです。
内側にはみ出したグリスはふき取らないでさらに中央部分にグリスを追加してから
押しつけるといいでしょう。
MMXとセレロンPPGAについてはCPU側を絶縁してください。
じゃないとCPUが壊れます。ここはグリスじゃなく熱伝導シートの方がいいかも。

ようやくFCPGAセレロン566を手に入れました。
クーラーは風神3のままですがバッファ板の代わりに0.5mm厚のシリコンシートを使っています。
これも信越シリコン製です。これにグリスを下記の方法で塗布していますが
シリコンシートの上下に塗ると約0.2mmになります。
その結果FCPGAのダイの厚さとちょうどよくなりました。
FCPGA版のグリスの塗り方はこちらを参考にしてください。
シリコンシートの代わりに市販の銅製の板でもいいかと思いますが、
厚さに気をつけてください。コアより高くなると効果が出ません。
CPUへのヒートシンクの取付は十分に気をつけてください。
最近のクリップはかなりきついので最悪コア欠けを起こして使えなくなります。
CPU裏側に温度センサーを張り付けていますが、どんなに付加をかけても35度以上にはなりません。
通常使用なら室温+6度位になっています。
 

通常の塗り方
薄く均一に塗った場合です。
(通常はみなさんこのように塗っておられるかと
思います。)
上記の塗り方にヒートシンクを押しつけた状態
(ヒートシンクの代わりに透明な5mm厚のアクリル板で撮影しました。)
かなりの力で押しつけたのですが
○印の部分とCPUの周りしか密着しないので
十分な放熱が期待できません。
推奨するグリスの塗り方

P54CのCPUをサンプルに
使用しました。

CPUの真ん中に盛り上がるくらいグリスをおきます。
押しつけた状態


上面から見た図です。

ヒートシンクを押しつけるようにして
広げます。できるだけCPUとヒートシンクを密着させて下さい。できる限り伸ばすような感覚で・・・。

CPUからはみ出るぐらい押しつけます。(ぐりぐりと回すとOK)
こうするとCPUとヒートシンクの間に隙間ができないので密着度が高く十分な効果が期待できます。
はみ出たグリスは拭き取らない事。
乾燥を防ぐ役割があります。

(はずす時はかなり大変でしたが・・・)
効果
私のノートで温度を測って見ました。
CPUはMMX233です。


温度1
薄く塗った場合のHDベンチ測定中の温度計の温度です。
38度でした。
(熱伝対をCPUとヒートシンクの間に
挟んで測定しました)
温度2
私のお薦めする塗り方で
同じ条件で測定したときの温度です。
32度になりました。
CPUの中央が盛り上がっているため密着面積が小さいですがそれでも6度も温度が下がりました。
K6,Celeron等ののCPUでしたら面積が広いのでもうちょっと効果が出たかもしれません。

結果
 何せノートPCでの実験でしたのでソフトからのモニターができないため
温度計で測ることになりました。(マザーボードモニター等のソフトが使用できなかった)
シリコングリスの塗り方でCPU温度が6度も下がることが実証できたので満足してます。
これに強力なファンの組み合わせなら・・・・・・
この6度の差をどのように取られるかはみなさん次第ですが・・・。
[シリコングリスの塗り方で放熱効果が変わる]

FCPGA版のグリスの塗り方(参考までに)

私のマザーボードはSLOT1ですので変換カードを
使います。

CPU・シリコンシート(0.5mm厚)・変換カードです。
グリスは信越シリコーンのG747を使っています。
一般には手に入らないでしょうけど、仕事柄手に入りますので(笑)
G746でしたら手元に開封前の物がありますのでメールをいただければ 譲ります。

グリスを出したら、十分に攪拌してください。
1ヶ月もおいておくと必ず分離しています。
このようにコアの周りにグリスを置きます。
3mm〜5mmぐらいコアからはなします。
次にシリコンシートを載せて、十分に摺り合わせてください。
窓からグリスが出てきますがふき取らないでください。
隙間ができると伝導率が下がるためです。
シリコンシートの上にさらにシリコンを置きます。
コアにも少量、置いて下さい。
後は十分に押しつけと、摺り合わせをして終了です。
写真は風神を使っていますが、現在はBIGWAVEです。


ヒートシンクの交換を考えている方、ちょっと交換する前に試してみて下さい。
お手持ちのヒートシンクでOkかもしれませんよ。
 オーバークロックを試されている方、他のチップorハードの冷却を
考えている方などお手軽な方法ですので試してみてはいかがでしょうか?
 またCPUをちょっとチェックしてみて下さい。
グリスが乾いてパサパサになってませんか?こうなると十分な放熱効果は期待できませんよ。
グリスの保存方法
冷暗所に保存します。冷蔵庫がベターですね。
長期間放置しておくと油とシリコンが分離しますので使用する際には

十分に攪拌してから使用しましょう。
後記
デスクトップでの結果です。
環境 

CPU Celeron566@850Mhz
測定方法 CPU裏側へセンサーを貼り付け。
測定時期 3D MARK2000、稼働中
温度   
32度(室温23度)

前からやりたいと思っていたことをようやく実現できました。

 グリスのメーカーはやっぱり信越シリコンがいいようですね。
個人的意見ですが。(市販されてるのだろうか?不安)
ご意見ご感想をお待ちしてます。

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