経済鈍化でも原発400基計画ほかデタラメ経済のツケを払わされる
空気・水・放射能まで、いよいよ限界を超えた世界最悪の環境汚染のばら撒きが始まった
(SAPIO 2012年8月1・8日号掲載) 2012年8月23日(木)配信
偏西風が中国の公害を
日本に運んでくる
大気汚染の原因は、急速に普及した自動車の影響があるが、最大要因は火力発電である。中国エネルギー事情に関して言えば、70%以上が火力発電だ。日本の火力発電所は集落がない海辺に建設されており、煙突は200m以上の高さのものもある。
しかし、中国は都会のど真ん中に火力発電所というケースもあり、煙突の高さは30mほどしかない場所もある。背の低い煙突から出る煤煙で人が行き交う街はいつも灰色でくすんでいる。
瀋陽の隣に撫順という中国最大の炭鉱町がある。そこはあまりにも煤煙がひどく、町を歩く人々は誰もがマスクにゴーグルという出で立ちだった。前方が見えず、宿から近所の食堂に行くだけで20分もかかってしまったほどだ。
環境対策がなおざりにされたままの火力発電だが、中国政府はこのほど、火力発電所の建設認可を加速する方針を打ち出した。大気汚染も加速することだろう。
このところ中国の電力消費は10%以上落ちているが、それでも発電所を作るのは、需要急増時に需給逼迫を招くことを恐れての方針だという。
同時に原子力と水力発電所の建設認可も加速するとの報道がある。原発に関して、中国は2050年には400基体制にすると豪語しており、現在稼働している原発は15基、建設中のものが26基だ。
中国の原発は広東省など東側の沿海部に多く建設されているが、万が一事故が発生すれば、偏西風によって放射能が運ばれ甚大な被害を受けるのは日本である。このことは肝に銘じておくべきであろう。
砂漠化も深刻だ。毎年平均3436km2の国土が砂漠化していると言われ、現在、全国土の18%、約174万km2が砂漠化したと推計されている。これは日本国土の4倍強に匹敵する。砂漠化は黄砂の原因だ。毎年、韓国はもちろん、北九州が黄砂の被害を受けているが、近年、その被害は日本中に広がりつつある。
砂漠化の主原因は急激な開発や木材確保のための森林伐採だ。さらに急激な人口増加と生活水準の向上で食糧需要が増え、肉食化が進んだ。それによって、豚や牛の消費量が増大し、過放牧によって牧草地が砂漠化しているのだ。
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