2013年度概算要求基準 一層の歳出削減、難航は必至
SankeiBiz 8月18日(土)8時15分配信
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2013年度予算案のイメージ(写真:フジサンケイビジネスアイ) |
政府が17日閣議決定した2013年度予算の概算要求基準で、環境など重点分野への要求を認めたのは日本再生戦略の実現に向け、大胆に予算を組み替え、メリハリをつけるためだ。ただ、財源の捻出には社会保障費の見直しなど一層の歳出削減が必要になるほか、各省庁が限られた予算を奪い合う“分捕り合戦”になる可能性もあり、実行のハードルは高い。
「これまでは予定調和だったが、今回は走りながら決めていく」
財務省幹部はこう打ち明ける。過去の民主党政権の予算編成で、成長分野に予算を重点配分する「特別枠」は、概算要求基準で要求総額の上限を決めていた。ただ、今回は上限を決めておらず、歳出の削減額に左右されるからだ。
13年度予算にはあらかじめ期待できる財源がないことが背景にある。12年度予算は、各省庁に政策経費の一律10%削減を求めたのに加え、税制改正に伴う財源があったため、7000億円の特別枠をまかなえた。
だが、13年度は公共事業費など政策経費の削減で浮くのは1兆円程度。社会保障費の自然増分を引くと、重点要求の財源に充てられるのは「3000億円に満たない」(財務省幹部)。
このため、政府は一般歳出の5割を占める社会保障費で生活保護費を見直すなど、深掘りして財源を捻出する方針だ。
もっとも、かけ声倒れになる懸念はぬぐえない。民主党は09年衆院選のマニフェスト(政権公約)で、予算のムダ削減によって9.1兆円の財源を捻出するとした。
だが、歳出削減は進まず、12年度予算でも削減額は2.9兆円にとどまった。
一方、今回の概算要求基準では、環境分野は予算の削減額の4倍、医療と農林漁業分野は2倍とするなど、内容で異なる倍率の要求を認めた。再生戦略につながる事業に傾斜配分する狙いだ。
12年度の特別枠には、道路整備など従来型の公共事業も計上された。財務省は「こじつけのような要求には厳格に対応する」とするが、環境などの名目で関係のない事業が便乗して要求される懸念がある。
今後、予算編成の過程では民主党も参加し、要求内容を精査するとしているが、総選挙を視野に党には歳出圧力が強く、的確な査定ができるか未知数だ。
最終更新:8月18日(土)8時48分
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