− 第15回 −
安藤美冬氏未来授業
〜ノマドワーカー 新しい働き方〜

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今週の講師は安藤美冬さん。大手出版社を経て、株式会社spree代表に。しかし現在の自らの職業を「フリーランス」と呼んでいます。働く場所を1つに限定しない「ノマドワーカー」としてのワークスタイルの提唱者としても有名で、その姿勢と実積が各メディアで多くの反響を呼びました。既存の会社員という職業“以外の”可能性、若い世代にとっての今後の仕事のあり方、向き合い方について伺いました。
フリーランスという職業
フリーランスという肩書きで仕事をはじめて1年半になります。現在の働き方の特徴は三つあります。まず一つ目が、ソーシャルメディアでの発信。セルフブランディングという概念を使い、自分自身を発信し続けて行くということです。二つ目は複数の肩書きで複数の仕事をすること。三つ目が、ノマドワークスタイルを取ることです。
この三つを軸にしたのは、「独立したらやらない」と決めていたことがあったからです。まず「営業をしない」。「仕事をください」という言葉を使わず、オファーが来るような仕掛けを作りたいと。二つ目が「スーツを着ない」。ジーパンとTシャツとジャケットでできる、自分のスタイルを貫きたいということです。三つ目が、「ルーティンワークをやらない」こと。事務作業をしないということではなく、「枠に収まらず、いろんな仕事をやってみたい」という意味です。結果的には一つ目がソーシャルメディアでの発信につながり、二つ目がノマドワークスタイルやセルフブランディングに広がり、三つ目が複数の肩書きで複数の仕事をすることへ広がりました。
恥ずかしい話ですが、29歳で会社を辞めようと決めてから1年半ほど、私は自分探しをしていました。でも、やりたいことはいろいろあっても、一生を傾けたくなるほどのものに出会えなかったので「なら、やらないことから決めよう」と思って、その三つを導き出したのです。しかし「what」が見つからなかったので、「how」=「どのようにして働くのか」「どのようにして生きるのか」という観点で決め、それが仕事の複数制や「好きな洋服を着て好きなスタイルを貫く」という方向に流れたのです。
ルパン三世式ワークスタイル
いろいろな仕事ができるのは楽しいのですが、複数の仕事はひとりでは完結できません。個人や企業さんとのビジネスですし、私自身に経験のない仕事もあります。たとえば編集は未経験ですので、書籍のプロデュースに際してはプロの編集者を必ず立てます。つまり、持ち込まれた仕事をいろんな人と分け合いながら進めることが大切なのです。これを私は「ルパン三世式ワークスタイル」と呼んでいます。プロジェクトベースで人を集め、報酬を分け合い、仕事が終わると解散するスタイルです。
それは、小さなコミュニティ内で仕事が回せることを意味します。私はより優秀な人、より実績のある人を求めていません。ツイッター上で出会った人や友人などに頼み、コミュニティ内でお金を回していくことにこだわっているんです。そうした方法が今後は重要だと思います。能力がある人、勝ち組だと言われる人、華々しい学歴や実績がある人が勝てた時代が終わり、これからは人とのつながりや信頼を構築する力さえあれば、どんなに小さいスキルであろうとも、この社会で仕事を通じて自分の居場所をつくり出せる時代がやってくるのだと思います。
私自身は26歳のとき鬱で半年間休職をしていますし、非正規雇用者としてドロップアウトしていますし、突出した能力もありません。そんな私が思うのは、実績だけではないということ。大切なのは、その人自身の魅力や人間性によって月々3万円でも5万円でもいいから複数の仕事を作り出していくこと。すべての人たちに居場所を与えること、作り出すこと。そして、それを私自身の活動で証明したいと考えています。