■「塩」と「専売法」
1992年当時は「専売法」があって「日本たばこ産業」がイオン交換法で作った純度の高い塩しか一般には手に入らなかった。しかし、
2002年「塩の販売の自由化」〜「自然塩ブーム」
2004年「優良誤認に対する公正取引委員会の介入」など、大きな変化があった。
作品で取り上げられた「生命(いのち)と塩の会」は実在の団体で、2002年4月に塩の販売が自由化された後も活動。
商品名は「土佐の完全天日塩 美味海(うまみ)(500g 1,000円)」現在では同様の「完全天日塩」を作るメーカーは多数存在するが、非科学乃至オカルト的な効用をうたう
ものが目立つ。
※塩の「原料」と「製法」
・岩塩に水を注入して濃い塩水として回収し煮詰めて製品とする …ヨーロッパと北米での製法はこれが主流で
不純物が少ない。
・岩塩をそのまま掘り出し適当な大きさに砕いて製品化 …不純物(岩石・鉄分・細菌など)が混入する可能性がある
・海水から「イオン交換」 …純度の高い塩化ナトリウムを回収できる
・海水を煮詰めて作る …岩塩を産出しない国や、ヨーロッパの海岸地域で行われる
・海水を天日や風で蒸発させ加熱しない …降水量の少ない国で作られるが、「天日塩」は「好塩菌混入」
などの問題から食用使用を制限ないし禁止している国もある。
※塩の国際規格
コーデックス(国際食品規格=日本も参加)では「塩化ナトリウム」含有率97%以上
ただしフランス国内規格は、国内の製塩業者の陳情によって、94%以上となっている。
その外、有害成分(砒素・銅・鉛・カドミウム・水銀)についての含有量制限もある。
※天然塩・自然塩ブームと表示の適正化
2002年4月に塩の販売が自由化されると「自然塩ブーム」がおきた。
現在の日本は「世界一多くの銘柄の塩が流通している」と言われる。
同時に、優良誤認をさせる天然自然キャッチフレーズの乱立がおこり、
「国内で採取された塩であると誤認される表示を行い輸入塩を販売している」などの問題により、
国内9社が「公正取引委員会」の警告を受けた。[参考:報道発表資料 (平成16年7月21日)家庭用塩の製造販売業者9社に対する警告等について]
具体的には、「伯方の塩」「赤穂の天塩」「シママース」etc.の原料は「輸入岩塩」であり、
国内の工場で溶かしてニガリなどのミネラル分を添加して塩化ナトリウムの含有量が低くなるように
調整して再結晶させたものなのに、あたかも「瀬戸内海」や「沖縄の海」で作られた塩であるように
思わせる売り方をしていることが問題とされた。
これを発端として表示のルールが検討され、
2010年4月から
「自然塩・天然塩およびそれに類する用語は使用できない」、「海洋深層水」により品質が優れていると表示するには、
合理的な根拠が必要、「ミネラル豊富」は不当表示、などの
「食用塩の表示に関する公正競争規約」が実施されることになった。[参考:食用塩公正取引協議会(設立経緯)]