特集ワイド:平和の視点で考える尖閣、竹島
毎日新聞 2012年08月22日 東京夕刊
最も近く、漁業で利用してきたのは沖縄だ。日本が台湾を植民地にした時代、漁業技術の進んでいた沖縄から台湾へ指導に行き、台湾から尖閣周辺へ出漁するようになった。一方、台湾の農民が石垣島でパイナップル栽培を教えた。尖閣周辺が共栄圏となっていたのだ。この歴史を参考に、沖縄や台湾の漁民、歴史研究者が時間をかけて話し合えばよい方向に進む。こういう平和的解決を探るべきだ。
何より腹が立つのは、戦時中の尖閣諸島での遭難者を政治利用したことだ。遺族は毎年7月に石垣島で粛々と慰霊祭を続けてきた。ところが「日本の領土を守るため行動する議員連盟」(会長=山谷えり子・自民党参院議員)が今になって別に慰霊祭を開き、領土問題での挑発的言動を繰り返した。遺族の心を踏みにじる行為でしかない。
また、米国は沖縄を施政権下に置いていたのに尖閣の位置づけをあいまいにした。日中に紛争の種を残しておく方が、日本を日米同盟に縛り付けるのに有利と考えたのではないか。沖縄の米軍基地問題が問われる今、尖閣問題で基地を正当化することは許されない。
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■人物略歴
◇リー・ジョンウォン
1953年、韓国・大邱生まれ。東京大大学院博士課程修了。立教大法学部教授などを経て現職。国際政治学。59歳。
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■人物略歴