特集ワイド:平和の視点で考える尖閣、竹島
毎日新聞 2012年08月22日 東京夕刊
日本は中韓台湾、フィリピン、ベトナム、ロシアとの間に強いパイプをつくるのが先決です。情報を得て、信頼関係を築けなければ外交などできない。島に旗を立てれば実効支配できる、領土問題は解決できると思っている人たちを苦々しく思っているのは中国も韓国も同じです。政財界、学者、ジャーナリストなどあらゆるレベルで信頼関係を築くことです。
◇「固有の領土」根本見直せ−−沖縄大学名誉教授・新崎盛暉さん
領土は近代国家の形成過程で決まっていったに過ぎない。元来備えているという意味での、国家の「固有の領土」はそもそも存在するのか。問題を根本から見直せばおのずと解決への展望は開ける。ナショナリズムであおる国境争いは住民には災いでしかない。尖閣諸島をめぐる日中の一部の人たちの挑発合戦に最も迷惑しているのは沖縄だ。
日本は1895年の閣議決定による先占権(無人島を先に占有すること)を主張し、中国は明代からの古文書に記載があることなどを領有権の根拠とする。しかし近代まで尖閣諸島は琉球−中国間の航海の目印となる無人島に過ぎなかった。近代国家は、居住者の意思表明で所属を決めればよいのだが、無人島だからそれもない。どちらの領土かと争うこと自体がおかしい。