名古屋グランパスのDF阿部翔平(28)が、次節川崎戦で5年ぶりにセンターバック(CB)を務めることが22日、濃厚になった。この日トヨタスポーツセンターで行われた紅白戦で主力組のCBとしてDF闘莉王と組んだ。左サイドバック(SB)が本職である阿部のCBはフェルフォーセン前監督が3バックと4バックを併用した2007年シーズン以来。DF増川とダニエルの両CBが出場停止のなか、急務である守備の立て直しを中央で担う。
3連敗阻止へ、命運は171センチの小柄なレフティーに託された。同時に出場停止となった増川とダニエルの穴を埋めるのは、左サイドバックの阿部となることが濃厚。この日の紅白戦で終始DF闘莉王と組んだ。G大阪戦で務めたMFダニルソンは負傷。19日の磐田との練習試合ではFW巻のCB起用も試されたが失点したことから、阿部に白羽の矢が立った形だ。
「予想はしていなかったですね。闘莉王さんに教えてもらいながらやります」。前監督時代以来5年ぶりのCB。経験はあるが、「守備のやり方も違う。やったことがないよりはいいけど、慣れてはないです」と不安な心境を正直に明かした。
ただ、秘めた思いはある。11日のリーグ清水戦で開始早々にオウンゴールで先制失点を献上。ここ3試合12失点という悪い流れを象徴するようなシーンだった。そして、続くG大阪戦で先発の座をはく奪された。
「あのミスは良くなかったけど、引きずらないようにはしたい。ただ、どこかで取り返さないといけない。これからもっともっとやって、ミスを取り返せることを証明したい」。本職でなくとも苦境のチームを救う活躍を見せられれば、失った信頼は取り戻せるはずだ。
突然のコンバートにこの日コンビを組んだ闘莉王は「試合で誰と組むかはわからないけど、大変な試合になることはわかってる」と予言。ただGK楢崎は「大丈夫。信頼していますから」と言い切った。阿部への負担は大きいが、守備は1人でするものではない。チーム一丸となって、ゴールに鍵を掛ける。 (宮崎厚志)
この記事を印刷する