戦闘が続くシリアのアレッポで取材中だった独立系通信社ジャパンプレスの女性ジャーナリスト、山本美香さん(45)が、戦闘に巻き込まれて死亡した。写真は亡くなった山本美香さん(日本テレビの映像より)。【時事通信社】
時事通信社【カイロ時事】シリア反体制武装組織「自由シリア軍」のクルディ副司令官は20日夜、時事通信の電話取材に対し、戦闘が続くシリア北部アレッポで取材中だった独立系通信社ジャパンプレスの日本人女性ジャーナリスト、山本美香さん(45)が同日、戦闘に巻き込まれて死亡したことを明らかにした。遺体は同日夜、自由シリア軍によってトルコ南部キリスに搬送され、トルコ当局に引き渡されたという。
日本政府も山本さんの死亡を確認。藤村修官房長官は21日午前の記者会見で、山本さんは銃撃戦に巻き込まれ、何者かの銃撃を受けて死亡したと述べた。外務省などによると、山本さんと一緒にいたジャパンプレスの佐藤和孝さんは「政府軍から攻撃された」と話したという。
副司令官によると、遺体はアレッポ北郊の町アザズを通り、約65キロ離れたトルコ南部キリス県の検問所を通過してキリスに到着した。
インターネット上の動画サイト「ユーチューブ」には、「(親アサド大統領派の民兵組織)シャビーハに日本人女性ジャーナリスト、ミカが殺害される」とのタイトルの付いた映像が投稿された。それによると、病院のベッドに横たわる山本さんは目を閉じたまま身動きせず、右腕の関節がえぐられるほどの重傷を負っていた。佐藤さんが医師らと話す場面も写っている。この動画は反体制派が投稿したとみられる。
在英人権団体「シリア人権監視団」によると、山本さんは政府軍と反体制派の激しい戦闘が続くアレッポのスレイマンハラビ地区で取材中に負傷し、病院に搬送された後、死亡した。シリア北部の対トルコ国境付近の一部は、反体制派が押さえており、一部の報道機関やジャーナリストは、自由シリア軍などの手引きでシリア北部に潜入して取材活動を行っている。