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仙台・サンモール一番町商店街 「からくり時計」撤去へ
| 撤去されることになったからくり時計2カ所(手前と奥)。四半世紀にわたり市民に親しまれてきた=仙台市青葉区のサンモール一番町商店街 |
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仙台市中心部のアーケード「サンモール一番町商店街」のからくり時計が、撤去されることになった。老朽化による故障が深刻で修理が難しく、9月に始まるアーケードの全面改修に伴い姿を消す。設置から四半世紀。故障前は流れる音楽に合わせ、人形が仙台七夕まつりなどを表現してきた。市民に親しまれた「街の顔」は、惜しまれつつ役目を終える。
からくり時計は1986年、当時のアーケードの建て替えに伴い、商店街振興組合が2カ所に設置した。 扉は1時間おきに開き、音楽とファンファーレに乗り人形劇を演じた。仙台七夕まつりのほか、支倉常長のローマ法王謁見(えっけん)も再現。隣県の小中校生らの修学旅行の立ち寄り場所にもなっていた。 不具合が出始めたのは5年ほど前。音が出なくなったり、扉が開かなくなったりし、ここ3年間ほどは動かしていない。最近は時計内部にハトが巣を作り、買い物客からふん害の苦情も寄せられていた。 アーケードの改修は2015年度の仙台市地下鉄東西線開業に対応して行う。天井のアクリル板を交換し透明度を高め、照明も発光ダイオード(LED)に換える。東日本大震災による破損で雨漏りが増え、来年3月までに工事が終わるよう計画を1年前倒しした。 組合は時計の修理も検討したが、製作した京都府の工房は既に解散。佐藤雅英事務長は「他の工房にも問い合わせたが、8000点以上もの部品を手作りする必要があるため無理だ、と断られた」と説明する。 仙台市中心部の情報発信拠点、仙台なびっく情報ステーション職員の関亮太さん(28)=仙台市泉区=は「子どものころ、母と買い物に来る度にからくり時計を見るのが楽しみだった。なくなってしまうとは…」と寂しそうに語る。 時計近くの商店主は「時計は商店街を長年見守ってくれた。役目は十分に果たしたのではないか。お疲れさまと言ってあげたい」と撤去に理解を示している。
2012年08月19日日曜日
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