熱血!与良政談:弱腰批判に耐える勇気=与良正男
毎日新聞 2012年08月22日 13時33分
尖閣諸島や竹島という問題に対し、どう発言するか。テレビのコメント役としては正直なところ憂鬱な毎日だ。
一番、無難なコメントがある。「日本政府は毅然(きぜん)として対応してほしい」である。そう語れば、まず誰からも批判はされない。今回に限らず、この種の話になると、「毅然と」という言葉が世にあふれ返るのはご承知の通りだ。
でも、これでは「増税する前にやることがある」と同じで、毅然とするのはいいけれど、それでどうすべきなのか、具体的には何も言っていないに等しい。それはずるいと思うから、例えば、尖閣諸島に上陸した香港の活動家らを強制送還した今度の日本政府のスピード幕引きについて、私は先週来、テレビやラジオでこう話している。
「ふらついた2年前の漁船衝突事件に比べれば、よほどまともで、強制送還は一つの方法だった」。100%正しかったとは言わないが、活動家らの目的は日中関係の悪化であり、今回もそのための挑発行動である。実際、活動家らの勾留が長引けば中国政府も対抗措置を取らざるを得なくなっただろう。双方がエスカレートして、みすみす活動家らのワナにはまる必要はないと考えるからだ。
当然のように、こう肯定的に評価すれば「お前は弱腰だ」という批判をいただく。だから憂鬱になるのだが、批判も覚悟していくしかない。