◇…スポーツ報知の購読申し込みは、フリーダイヤル 0120-16-4341(イロ ヨミヨイ) まで…◇
◇…過去の記事は、ご使用のプロバイダのデータベース・サービスをご利用ください。…◇
内戦が激化しているシリア北部アレッポで20日(日本時間20日夜)、反体制武装組織に同行して取材していた日本人女性ジャーナリスト・山本美香さん(45)が政府軍の一団に銃撃され、死亡した。独立系メディア「ジャパンプレス」に所属し、15年以上にわたって戦火の中で取材を続けた山本さん。女性の紛争地ジャーナリストの象徴的存在だった。
反体制武装組織「自由シリア軍」に同行して、アレッポのスレイマン・ハラビ地区に足を踏み入れた「ジャパンプレス」代表の佐藤和孝さん(56)と山本さんは、取材中に近づいてきた「迷彩服の一団」を当初、自由シリア軍の部隊かと思いカメラを構えた。しかし、その一団は政府軍か政府側の民兵だった。「逃げろー!」。佐藤さんが叫ぶのと同時に、一団は約20メートル前方から銃を乱射した。
約1時間ほど続いた戦闘の後、山本さんの行方は分からなくなっていた。身を案じていた佐藤さんは「自由シリア軍」メンバーから指示を受け、トルコ南部キリスの病院へ。そこで目にしたのは、変わり果てた山本さんの姿だった。右腕や首に銃創。髪やズボンは血に塗(まみ)れ、防弾チョッキの腹部にも被弾の痕があった。
「顔はきれいだった。体はまだ少し温かかった。一瞬のことで彼女を守ってやれなかった。怖かっただろう。身代わりになれれば、どんなに良かったか」(佐藤さん)。昨年3月にシリアで反政府デモが本格化して以降、日本人が戦闘の犠牲になったのは初めてだ。
山本さんは、佐藤さんとパートナーを組み、15年以上にわたり世界の紛争地から戦禍の惨状や住民の暮らしを報告してきた。ハンディーカメラでの撮影から構成、編集までを手掛けるビデオジャーナリストの先駆者として知られた。
戦火の中にある女性や子どもたちの声に耳を傾けることがライフワークだった。タリバン政権下のアフガニスタンでは女性の暮らしに密着し、イラク戦争では空爆下のバグダッド市民に寄り添った。ホテルが集中爆撃され、隣室で複数の死者が出る極限状態に置かれても、ビデオカメラを回し続けた。
今回は今月14日に現地入り、取材結果を日本テレビの番組で報告。20日午前、キリスのホテルからシリアに入り、同日夕までに戻りテレビ中継車を使う予定だった。21日夜の日本テレビ系「NEWS ZERO」で、山本さんが最後に撮影した映像が公開された。空爆を受ける街で暮らす女性や赤ちゃんの姿。そして1発の銃声。映像はそこで途切れていた。
◆日本人ジャーナリストが海外で巻き込まれた最近の主な事件
▼2004年5月 イラク中部マハムディヤ付近でフリージャーナリスト橋田信介さんと小川功太郎さんが武装集団に襲撃され死亡
▼07年9月 ミャンマー・ヤンゴンで反政府デモ取材中の映像ジャーナリスト長井健司さんが射殺される
▼10年4月 タイ・バンコクで反政府デモを取材中のロイター通信の日本人カメラマン村本博之さんが銃撃され死亡
◆山本 美香(やまもと・みか)1967年5月26日、山梨県都留市生まれ。90年、都留文科大卒業後、CS放送局「朝日ニュースター」にディレクターとして入社。96年から「ジャパンプレス」所属。米アフガニスタン空爆、イラク戦争などを取材。03~04年まで日テレ系「きょうの出来事」フィールドキャスター。03年度ボーン・上田記念国際記者賞特別賞受賞。
(2012年8月22日06時05分 スポーツ報知)
国内最大規模の携帯ニュースサイト。スポーツニュース速報のほか、旬の社会、芸能ニュースも満載。月額84円(税込)
巨人軍公式サイト。待ち受け画像や注目の選手情報など、シーズンオフも必見。「NEWS読売・報知」の全コンテンツも利用できて月額210円(税込)!
翌日朝掲載の釣果情報を当日夜に配信。厳選した指定船宿と協力店からの正確な情報や、船宿の自慢料理・仕掛けなど、実用的なメニューもご用意。月額210円(税込)
携帯初の競輪予想情報。グランプリやダービーはもちろん、関東・南関東を中心に各レースを徹底予測。月額210円(税込)