河北抄

 名取市閖上名物のたこ焼きは一味違っていた。団子のように3個をまとめて串刺しにし、つぼに入った特製ソースにどっぷりと漬けて売っていた。
 過去形なのは、たこ焼き店の経営者が昨年の津波で亡くなったからだ。当時92歳の橋浦きよさん。地元では「たこ焼きは串刺しが普通」と思われていたほど親しまれていた。

 秘伝のソースの製法は門外不出。なので、レシピを知る人はほとんどいない。そこで「幻のたこ焼き」を再現しようというイベントが26日、内陸の仮設商店街「閖上さいかい市場」で開かれる。
 明治大と尚絅学院大の教員や生徒の有志でつくる「名取・旅おこし講」が主催。代表を務める明治大商学部の木村乃(だい)特任准教授(47)は「味の記憶は強く刻まれる。離散している閖上の方々が一堂に会し、再現という遊びを通して元気になってもらえたら」と話す。

 イベントは午前10時から。事前に応募した人がたこ焼きづくりに挑戦する。地元の人によると、モチモチしていて、甘さの中に少し辛みが混じった味という。橋浦ばあちゃんの味にどこまで近づけるか。試食会もある。(2012・8・22)
 

2012年08月22日水曜日

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