「クジラ食べても安全」 水銀追跡調査 健康被害なし
和歌山・太地町 メチル水銀中毒の可能性認められず
クジラやイルカ漁が盛んな和歌山県太地町で住民の毛髪中のメチル水銀濃度が国内平均より高くなっている問題で、国立水俣病総合研究センターは30日、2010年に公表した初回調査の追跡調査の結果、水銀による健康被害は見られないと発表した。
水銀は多量に摂取すると神経障害を起こす恐れがある。大型魚やクジラは食物連鎖で水銀が蓄積されやすく、反捕鯨団体などは多量摂取すれば健康被害があると主張している。
センターは住民延べ1137人の水銀濃度の調査結果を10年5月に公表し、クジラ類をほとんど食べない地域と比べ、平均値が4倍程度高いことが分かった。
追跡調査の対象は、水銀濃度が比較的高かった住民を中心にした194人。平均は15.1ppmと、日本人平均の2.5ppmより大幅に高かったが、検診でメチル水銀中毒の可能性は認められなかった。50ppmを超えた人は、約100ppmを最高に12人いたが、いずれも水銀が原因とみられる健康悪化はなかった。
センターの阿部重一所長は「クジラやイルカをこれまで通り食べてもらって全く問題ない」と安全宣言した。
(メモ)
毛髪水銀濃度 毛髪に含まれるメチル水銀の割合。水銀濃度が1ppmならば、毛髪1キログラムに1ミリグラムの水銀が含まれることになる。世界保健機関(WHO)は1990年、成人で神経症状の出ない最大値として50ppmの目安を示した。国内では、内閣府食品安全委員会が2005年、胎児に影響の出ない最大値として11ppmを示し、妊婦の許容摂取量の目安とした。
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