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「『わたし』の人生(みち) 我が命のタンゴ」(日本映画):父の痴呆症と娘の介護離職

昨日(14日)の理事会の審議。出頭指定の11時15分にクラブのメディアルームに入ると僕の前に召喚されている西澤さんが未だだから待てと。ちらっと見た出席している10人ほどの理事たちの顔は皆知っている。
今はリストラの影響で閉鎖されているダイニングルームで福原、平野、石川の卓球銀メタル三人娘の記者会見が始まるのでフロント前はカメラを担いだTV屋や記者たちで大混雑。
結局審議が始まったのは12時近く。冒頭バウムガルトナー会長が僕の罪状を読みあげているのを遮って、僕はいきなり「渾名で呼んだこと、伝聞醜聞を書いたこと」を取り消して(take back)て謝罪(apologize)してしまう。こんなことは早い方が良い。だが「自分で直接見聞きした会長の傷害事件、労組にビラ捲き騒動などはその限りでは無い」と宣言した。理事会も鋭い、「例え傷を見、医師の診断書をチェックしたとしても加害者が会長だと確認してないじゃないか」うーん、そう言えばこれも伝聞になるのか、厳しい。それにブログで非難した会長のH氏への人種差別言動は4年前にその時の会長の面前で謝罪し解決している問題だと。
 「貴方の寿司職人への人種差別言動(黒い人に寿司なんか握って欲しくない)は許し難い」と。タジタジとなる。江戸前の寿司は江戸育ちの板さんに握って欲しい、は食通の問題で差別問題じゃないと抗弁しようとするが根拠は薄弱だ。
「会長一派へのブログを使って攻撃した動機は、自分の性癖で弱い者、苦しめられている者たち(馘首されたUPC36人)へ救いの手を差し伸べるべきだと考えたからだ」と議論する。「公益法人」への移行のためにやむを得ず取った行動だと反論されるが、この部分だけは納得できない。
 しかし今までの名誉棄損的暴言は改めて皆の前で謝罪をする。これは決して理事会に阿(おも)ねているのではなく本心からだ。
 怖れていた「魔女裁判」では無く互いに納得させ理解させる論議は続く。これで少しは安堵するが、それと裁定は別。寿司バーやメディアルームなど4つのリザーブが9月半ばまでしてあるので「処刑」(Execution)は9月後半から実施して呉れと依頼。理事たちは皆笑っていたからこれは延期は了解だろう。後日通達するとのお達しでチョン。

 FCCJ査問会が終わった午後、16時20分の銀座シネスィッチ。40席ほどある2階席は3人しかいなかった。シニア層でいつも盛況の小屋だが、老人性痴呆症と介護離職と身につまされるテーマの所為か敬遠され淋しい空席だらけの劇場だった。
 和田秀樹と言えば受験アドバイザーであり評論家であり精神科医、臨床心理士と何でもござれだが、その上小説を書き、映画も「受験のシンデレラ」を撮っている。和田秀樹監督第二作目で、実際和田が担当した患者のエピソードを基に、認知症を患った父親とその娘との家族の悩み苦しみそして愛や絆を描く。子育てが終わったなら大学教授になると言う夢に向かい足を踏み出したばかりの娘に突きつけられた父親の介護という重い負担。そのため折角手に入れた教授職を辞めなければならない「介護離職」。現代社会では認知症の高齢者が全国で250万人、介護のために仕事を辞める介護離職者は全国で50万人以上いると言う。老いとそこから派生する問題を抱える家族たちの悩みを描くシリアスな映画だが心が伝わって来ない。和田秀樹は2本撮っても何本撮っても映画畑で育った訳では無い。明らかに稚拙な素人演出では金を払った観客に失礼だろう。それだから小屋がガラガラと言うのも頷ける。やはりコンセプトと原案だけ出して監督はプロに任せるべきだった。
 冒頭はある主婦の葬式。娘であり主婦の鈴木百合子(秋吉久美子)は、アルゼンチンへタンゴのダンサーになっている妹、実加子(冴木杏奈)が葬式に間に合わなかったのに怒る。百合子の父で元大学教授の堂島修治郎(橋爪功)は自分の妻の死を悼むでもなく講演を淡々とこなしている。百合子は華やかなTVニュースキャスターを出産と子育てのため辞めたが、子供も手がかからなくなり、長年の夢である大学教授への道を歩き始めていた。
 そんなある日、父が痴漢行為で警察に保護された。普段はシャキッとしている父の異変を心配した百合子は嫌がる父を病院へ連れて行く。やはり修治郎は「認知症」だと診断される。進行する痴呆の不安と介護という現実に直面して家族の心はバラバラになって行く。そんな時、百合子は同じ症状の老人を抱える家族が集う認知症「家族の会」の存在を知る。そこで出会った個性溢れる患者たちに実加子はアルゼンチンタンゴを教え始める。ボケ老人たちのエピソードは微笑ましくキュートだ。修治郎は美人の老女、静子(松原智恵子)と言うパートナーを得てタンゴに夢中になって行く。最初は見様見真似であったが、ステップを踏むうちに修治郎の表情に変化が訪れてくる。そんな父の姿を見た百合子も、介護によって諦めかけていた大学教授の夢に再挑戦をするのだった。

 秋吉久美子は熱演しているが、本が悪いし演出が稚拙なため芝居にあちこちに齟齬が出ている。鬼の様な顔をしていたかと思えばヒステリーに叫ぶ。こちらの方が余程病気だ。修二郎が仇討ちで寝ていた百合子に小便をかけるが、いくら認知症でもそんなことがあるのだろうか?
僕は昔から松原智恵子のファンだが、スレンダーな身体を包む真っ赤なドレスの67歳の松原が美しいこと。久しぶりの主演、橋爪功もタンゴに夢中になる老人を演じるが、パートナーの静子の突然の死去に狼狽するがタンゴの方が大切と言う気持ちが良く出ている。

 銀座シネスィッチで公開中。ガラガラなので応援してあげてください。

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