日韓通貨交換:政府の見直し検討 ウォン相場混乱要因にも
毎日新聞 2012年08月21日 20時57分(最終更新 08月22日 02時56分)
ところが、李大統領の対日批判で様相は一変。安住淳財務相は17日の記者会見で「日本国民の感情を逆なでし、看過ならない」と述べ、拡大措置の打ち切りを示唆した。安住財務相の強硬姿勢の背景には、ドルなどの調達に苦慮する韓国側の要請で拡大措置をとったにもかかわらず、韓国政府が「拡大措置は日本が申し入れた」と公言していることもある。政府高官は「欧州債務危機がくすぶっており、以前はこのまま延長を考えていたが、政治判断してもらうしかない」と語る。
市場では、拡大措置が打ち切られても「チェンマイ・イニシアチブなど多国間の融通制度もあり、すぐに影響が出るとは考えにくい」(大和総研の長内智エコノミスト)と冷静な見方が多い。ただ、欧州債務危機が深刻化し、国際金融市場が動揺すれば「韓国から資金が引き揚げられ、ウォン相場が急落するリスクはある」(SMBC日興証券の牧野潤一チーフエコノミスト)。長内氏は「もし信用不安が起きれば、防波堤の一つだった日韓通貨スワップの枠縮小はマイナス要因になる」と指摘する。