山本美香さん 追悼文 (石丸次郎)

twitter.gif facebook.gif


ご冥福をお祈りします、山本美香さん。

でもやはり、あなたの死は、早すぎた死あり、無念の死であり悔しい死であります。仲間として、同じ世代のジャーナリストとして、やはりそう思います。

あなたがおもに紛争地を取材地として選び、困難と危険を知りつつ現場に通い続けてきたのは、そこが人間社会の矛盾と葛藤が、もっとも激しく現れる場であり、それでもそこに暮らさなければならない人がいるからでした。またそこが、直接目で見て伝えることがもっとも困難な場所だからでした。

今、世界でもっとも危険な地域の一つであるシリアに赴いたのも、いったい、国内で起こっていることは何なのか?子どもやお年寄りや農民など、平凡に暮してきたはずの普通の人々は、どんな境遇に置かれ、何を望んでいるのか?それを自分の目で見て確かめるためだったに違いありません。

20年近く現場取材経験を積み、発信を続けてきたのだから、これから、本当に山本美香にしかできない、やらなければならない、そしてやりたい仕事がいっぱいあったはずです。道半ばで倒れたことがあまりにも惜しくて、あまりにも残念です。

どうぞ安らかにお眠りください。

石丸次郎







最新PR
         
    
メディアとジャーナリズム
アジアプレスちゃんねる
Yahoo!ブックマークに登録する はてなブックマーク Buzzurlに登録する Google Bookmarksに登録する ニフティクリップに登録する newsingに登録する
[PR]
関連書籍

ishimaru_book_bk_2.jpg

北朝鮮からの脱出者たち
著者:石丸次郎
発行:講談社+α文庫
<2006年2月刊>
定価838円(税別)

北朝鮮の民衆は、どのように生き、どのように死んでいったのか。 近くて遠い国であえぐ生身の人々の素顔が、現地徹底取材によって、いま明らかになる。

*** *** ***

ogura02.jpg
北のサラムたち
著者:石丸次郎
発行:インフォバーン
定価:1500円(税別)

瀋陽・日本総領事館駆け込み事件。  「危険な賭け」に出たのは幼い娘を抱えた北朝鮮難民一家だった。「サラム」とは朝鮮語で「人」の意。祖国を逃れ、苦闘の日々を生きる彼ら。 10年以上にわたり、「北のサラム」たちの”素顔”を追ったジャーナリストによる衝撃的なルポルタージュ。

*** *** ***

ogura02.jpg
北朝鮮難民
著者:石丸次郎
発行:講談社
定価:660円(税別)

中国に潜む膨大な数の越境者たち。支援組織、潜伏生活、亡命ルートなど、長期の取材で明らかになった驚くべき事実の数々。

■そのほかの書籍