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【国際】

EU耐性評価揺らぐ 原子炉12基閉鎖要求

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 【ブリュッセル=共同】東京電力福島第一原発事故を受けて欧州連合(EU)が域内の全原子炉百四十三基で実施したストレステスト(耐性評価)について、国際環境保護団体グリーンピースは十八日までに「福島の教訓が生かされず、深刻な欠陥が見過ごされている」と批判し、ベルギー、英国、フランスの計十二基の原子炉を「即時閉鎖すべきだ」と結論付けた報告書をまとめた。

 EUはストレステストの最終報告を秋にも発表するが、原発保有国十四カ国の原発に「閉鎖が必要となる深刻な欠陥はない」との結論を維持する見通し。グリーンピースが即時閉鎖を求めたベルギーのドール原発では最近、原子炉にひびとみられる異常が見つかり運転が停止されており、EUの評価の信頼性に疑問が広がっている。

 日本政府は、EUテストを参考に原発の再稼働を認める条件として「安全評価」を導入、EU方式への疑問は日本にも影響を与えそうだ。

 グリーンピースはEUが公表した最終段階のテスト結果を専門家に依頼して独自に分析。事故が起きれば甚大な被害が懸念される十カ国計十三原発を抽出して安全性を精査した。

 その結果、ベルギー北部ドール原発の二基と南部ティアンジュ原発の一基、英中西部ウィルファ原発の残存一基、フランス東部フェッセンハイム原発の二基、北部グラブリーヌ原発の六基の計十二基には、最も厳しい「即時閉鎖」を要求した。そのほかの原子炉にも「段階的廃止」や「一時的運転停止」などを突き付けている。

 報告書によると、地震、洪水、火災など「複合的な自然災害」を想定した対応策が検討されていないほか、使用済み核燃料プールの防護や冷却装置、非常電源の不備など福島事故で判明した問題点への対策が講じられていないという。

 また、ストレステストが原発事故時の住民の避難計画を検査対象としていないと批判。ベルギーの都市アントワープから二十キロ圏内にあるドール原発などの危険性を強調した。

 

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