五輪メダリストパレードが、早くも存亡の危機だ。ロンドン五輪の日本選手団は20日、東京・銀座で華々しくパレードを行った。沿道に集まった観客は約50万人(主催者発表)。平日の午前中にもかかわらず、銀座の街にはひと目でもメダリストを見ようと多くの観客が集まった。その数約50万人。日本オリンピック委員会(JOC)の発表によると警備員1050人を配置した。
それもこれも2020年夏季五輪の東京招致のため。本格化する五輪招致レースで東京はスペインのマドリード、トルコのイスタンブールとともに最終候補の3都市に残ったが、国際オリンピック委員会(IOC)の調査結果で地元の開催支持率は47%と最低だった。今回のパレードは起死回生のイベントという意味合いもあり、沿道を埋め尽くした市民の反応を見る限りは、少なからず効果も期待できそうだ。
ただ、これだけ盛り上がった豪華パレードも、今回限りという可能性が浮上している。
「ソチ五輪でどれだけメダルが取れるか…そこですよね」と頭を抱えるのはJOC関係者。
ロンドン五輪では金7個、銀14個、銅17個というメダルラッシュだったものの、冬季になると状況は厳しい。10年バンクーバー五輪では銀3銅2で金はゼロ。06年トリノ五輪では金1個のみだった。
フィギュアスケート女子の浅田真央(21=中京大)の不振は依然として出口が見えず、今回のレスリング女子や体操の内村航平(23=コナミ)のような絶対的存在がいない。そうなれば「銅メダリスト1人でも銀座パレードをやるのか」との議論が起こることは必至。しかも、20年夏季五輪招致の決定は13年9月とソチ五輪前年のため、もし東京に決まらなければ一気に尻すぼみになりそうだ。
そこでJOCの市原則之専務理事(70)に聞くと「東京が決まらなくても感謝の意味もあるから続けたい」としながらも「メダリストが少なくても? う~ん…それはいろいろ考えていきます」と微妙なコメントに終始した。
日本の五輪史上初めてのメダリスト銀座パレード。最初で最後にならなければいいが…。
