ソフトバンクは21日、西武戦に快勝し、今季最長となる6連勝を飾った。殊勲のヒーローはなんといっても小久保だ。今季限りでの現役引退を表明後、初のスタメン出場で相手先発・岸から先制適時打。そこまで完璧な投球を見せていたレオの右腕から得点を奪い取り、チームを勢いづけた。投げてはエースの摂津が7回3安打無失点の力投で、リーグ単独トップに立つ12勝目をマーク。逆転でのリーグ3連覇に向けて、鷹軍はエンジン全開だ。
今季限りの引退を表明している鷹のキャプテンがさすがの集中力を発揮した。0—0の7回二死一、二塁の場面で、西武先発・岸から3球ファウルを続けた後の7球目を引っ張り、左前に運んだ。「スタンドから聞こえてきた僕の昔の応援歌に気持ちを乗せてもらったおかげで打てました」。ラストイヤーを迎えた小久保に対して、現行の応援歌と旧応援歌を交互に演奏して応援していた右翼スタンドのファンへ感謝の思いを伝えることも忘れなかった。
常に準備はできていた。引退を決断したとはいえ、モチベーションは落ちてはいない。「せっかくなら、ここから成績を上げて、惜しまれて辞めたい」と話す。この日は内川が右手薬指の突き指で欠場したことなどもあり、5番・一塁で11日の楽天戦以来となる久々のスタメン出場。もちろん、引退表明後では初先発だ。
小久保は9回にもダメ押しの適時打を放つなど大暴れ。「チームの力になれるように最大の努力をしたい」。すべての力を出して燃え尽きようとする小久保の思いがチームの勝利を呼び込んだ。
投げてはエース・摂津が7回無失点に抑えてハーラーダービートップタイの12勝目を挙げた。「最後(7回)にピンチを招いたが、小久保さんが取ってくれた点をなんとか守ろうという気持ちだった」。
今季初となる中5日での登板。今後は相手のエース級との投げ合う可能性が高い3連戦の初戦を任されることになる。敗れれば3タテを食らう危険性もある。摂津にとってもチームにとっても、ある意味大きな賭けだ。この日は小久保の活躍で、その賭けに勝つことができた。
これでチームは今季初の6連勝。ついにリーグ3連覇が見えてきた。