<第94回全国高校野球選手権大会・13日目(21日)>明徳義塾(高知)4-1倉敷商(岡山)
1-1で迎えた6回。明徳義塾は一死満塁のチャンスをつくると、打席に立ったエースの福は、相手先発・西のストレートを会心のスイングで捉えた。打球は左前に達し、試合の流れを引き寄せる値千金の勝ち越し適時打となった。
福の勢いは止まらない。8回には二死三塁から右前に適時打。2回と4回の打席では犠打でサポート役を演じたが、勝負どころではポイントゲッターとして活躍し、倉敷商を突き放した。「低めのシンカーを捨てて、真っすぐを狙おうという意識だった。2本の適時打はたまたまだけど、打ててうれしい」と晴れ晴れとした表情で話した。
投げては1失点完投勝利。3回二死走者なしから倉敷商・藤井に甘く入った直球を左翼席に運ばれたが、4回に宗が中越えの本塁打で同点に追い付き、以降は危なげない投球で最後まで投げきった。「宗が点を取ってくれてからは要所要所を締め、自分の持っている力を出せた。ホームランは真っすぐの甘い球を打たれたもので、これ以上、絶対に打たれないようにしようと思った」
倉敷商とは今年7月の県予選直前にも練習試合を行った。チームは10-8で逆転勝ちしたが、8、9回を投げた福は「スライダーをかなり打たれ、8回に5点取られて3-8とされた」。そのときの悔しさをバネに自分のピッチングを見直し、甲子園という大舞台で見事リベンジを果たした。福は「練習試合の反省が生きました」と胸を張った。
これで10年ぶりのベスト4進出。馬淵監督は「ベスト8にいけるチームは投手数が多く、配球面など野球の分かった選手が多い。ウチには150キロ出せるピッチャーはいないし体も小さいが、作戦を立てれば勝負になるところを見せたい」と福の活躍に期待を寄せた。
次の相手は春夏連覇を狙う大阪桐蔭。指揮官は「向こうが横綱ならこっちは前頭みたいなもの」と言うが、福は「今日の投球は80点。明日の試合は全力で行くだけ」。次は100点満点のピッチングで“大金星”を挙げる。