大阪市の長居公園で落雷により2人が死亡した事故を受け、国内唯一の雷対策専門メーカー「音羽電機工業」=尼崎市=が、野外行事や祭りでの予防策として雷を検知するレーダーの貸し出しを検討している。落雷をピンポイントで予測するのは難しく、これまで一日限りのイベントでは効果的な対策がなかったという。ゴルフ場などに設置しているレーダーを手ごろな価格でレンタルし、雷雲接近時に安全に避難してもらう。(霍見真一郎)
近畿各地では18日、落雷により多くの死傷者が出た。長居公園では突然の雷雨に見舞われ、木の周囲にいた女性2人が死亡した。
同社は、雷の危険性をランプで伝えるレーダーを製造販売し、全国約140カ所に納入してきた。しかし、設置工事を含めると約150万〜200万円と高価なため、大半はゴルフ場や学校など通年的に使う施設に限られ、単発のイベントなどでの設置はなかった。
今回の事故などを受け、同社はリースやレンタルを検討。リース会社と調整を始めており、簡便な設置方法や料金について具体化していく。
レーダーは高さ約3・2メートルのアンテナを備える。約50キロ圏内に雷雲が入ると緑ランプが点灯し、約10キロに近づくと黄ランプ、約5キロに入ると赤ランプに変わる。同社は「主催者は黄色に変わった時点でアナウンスでき、安全に近くの建物や車に誘導できる」とする。黄から赤ランプまでは10〜15分程度の間があり、余裕を持って避難することが可能という。
長居公園で落雷があった18日、神戸市中央区で大規模な盆踊りイベントを開いていた同区役所の担当者は「東の空で雷が光っているのが見え、ハラハラした。近くのビルに落ちるだけで参加者がパニックに陥る可能性もあった。事故があったら主催者責任を問われることもある。効果的で値段も抑えられる対策があれば検討したい」と話している。
(2012/08/22 07:35)
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