山本さん 最後に撮影した映像公開8月22日 7時27分
亡くなった山本美香さんが銃撃戦に巻き込まれた日にアレッポで撮影した映像には、銃声が鳴り響く現場や、戦火の街で暮らし続ける市民の姿が収録されていました。
映像には、一緒に取材していた佐藤和孝さんが撮影したカメラを携えた山本さんや、反政府勢力に同行して取材する様子、それに佐藤さんと交わす戦況についての会話などが収められています。
道路の高架近くでは銃声が鳴り響き、緊張が高まる現場の様子を撮影しています。
その後、山本さんは、「今のは危なかった。本当に人に向かって撃っている。まったくやみくもに撃っている」などと話しています。
移動中の車の中では、「これから前線に向かいます。たった今空爆を受けたところで、3発ほど爆弾を落としていたのですが、そこに向かっています」などとリポートしています。
山本さんは反政府勢力のメンバーだけでなく、アレッポの街なかで赤ちゃんを連れて歩く男性や、建物のベランダから不安げに外の様子を見る家族など、これまでこだわりを持ち続けてきた、紛争に巻き込まれる市民の姿も撮影しています。
そして、住民が路上に車止めを設けたり避難したりする様子を映したあと、叫び声や銃声とともに映像は終わっています。
大学院で講師 積極的に議論
シリアで取材中に死亡した日本人女性ジャーナリストの山本美香さんは、早稲田大学大学院で、ジャーナリストを志す学生などを対象とした授業の講師を務めていました。
山本さんを招いた早稲田大学大学院の瀬川至朗教授によりますと、山本さんは4年前から講師を務め、年に数回、イラクでの取材体験や戦争取材に対する自身の考えを題材に、学生たちと議論を交わしていたということです。
瀬川教授は、山本さんについて、「戦闘そのものを伝えるのではなく、戦時下で市民が置かれている厳しい状況や、外にはなかなか届かない声を伝えていくことに使命感を持っていた。亡くなったことは本当に驚いたし、信じられない気持ちだ」と話しています。
また、今回の取材に出かける前に、山本さんから来年度も講師を続けたいという打診があったということで、瀬川教授は「学生と積極的に議論し、人気があった。若い世代のジャーナリストを育てることにも熱意を持っていた人だけに、そういう存在を失い、本当に残念だ」と話しています。
[関連リンク] |
|