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腹ぺこ?人里ウロウロ 秋田、7月末までのクマの目撃最多

ツキノワグマ

 秋田県内でことし、7月末までのツキノワグマの目撃数が297件に上り、統計を取り始めた2001年以降、同時期比で過去最多となっている。ブナの実など山の中の餌不足が続き、人里に出てきているためとみられている。8月に入りクマに襲われる人も出ており、県内の自治体は注意を呼び掛けている。

 県自然保護課によると、7月末までの目撃数として最も多かったのは10年の257件。ことしはそれを40件上回った。
 この中には、横手市の横手公園内で目撃されたり、秋田市御所野の住宅街近くで目撃された報告もある。8月上旬には、湯沢市の男性が自宅近くの山林でクマに襲われ、頭などにけがをした。
 クマが多く目撃されるようになった主な原因は、餌となるブナの実やドングリの不作が続いているからだという。県自然保護課の阿部雅弘課長は「加えてことしは、大雪の影響で春の山菜の芽が出るのが遅くなり、冬眠からさめた後、腹をすかせて人里を歩き回ったのではないか」と話す。
 一方、独立行政法人森林総合研究所東北支所(盛岡市)生物多様性研究グループの堀野真一グループ長は「捕獲が自粛されていて、個体数が多くなっている可能性がある」と推測する。
 また、クマと人間の境界線になっていた地域で、過疎化や高齢化によって農家の耕作放棄が増えているのも要因の一つだとみる。「クマが山から出てくる通路として好都合になっている」と堀野グループ長。
 このほか、餌となる柿の実などが放置されていることも目撃数の増加に関係しているという。
 秋田県警によると、7月末現在、県内の警察署の中で最も目撃数が多いのが大館署管内の59件。大館市比内町では、鶏舎で比内地鶏のひなが約250羽(約7万5000円相当)襲われ、養蜂場では蜂の巣箱計4個(約22万円相当)が荒らされた。
 このため、同市は7月下旬、庁舎内に市クマ出没警戒対策室を設置。芳賀宰室長は「市内でのクマの目撃数の多さや被害の大きさは例年では考えられず、異常な状態」と言う。「できるだけ畑にクマの餌になるようなものを置かないこと、山に入る時は万一に備えて複数で入ること。クマに遭遇したら、慌てずに距離を取ってほしい」と話している。


2012年08月22日水曜日


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