「“劣等人種”と“劣等産業”」のエントリーにたくさんのコメントをいただきました。TPP問題には多様な争点があるわけですが、私の関心は、たとえば以下のような“反対派”の主張です。
「離島のサトウキビがなくなり、人も住めなくなる。領土を守るためにもTPPに参加しないでほしい」(JA沖縄中央会)
「(TPPに参加すると)水産業が担っている国境地域の監視機能も衰退する」(全国漁業協同組合連合会)
TPP問題の特徴は、“奴らが俺たちのなわばりを荒らしに来る”というプロパガンダによって、経済政策の問題が感情的な議論にすりかわってしまうことでしょう。自らの既得権を守るために「愛国」を道具にするひとたちには、正直、かなりの違和感があります。
“なわばり”感情を利用するのはきわめて強力なプロパガンダなので、日本だけでなく、世界じゅうどこでも(もちろんアメリカでも)、いつの時代でも行なわれています。
先のエントリーでは、そのことを明治初期の「内地雑居論争」を例にあげて説明しましたが、紙幅の関係で、それがどのようなものか具体的に紹介できませんでした。
このきわめて興味深い論争を“発掘”したのは歴史社会学者の小熊英二氏で、この論争がコメ市場開放問題と同型であることを指摘したのも同氏です。詳しくは『単一民族神話の起源』を読んでいただきたいのですが、ここでは議論の参考に、現在執筆中の本のなかから、この論争の要約部分を掲載します。
明治時代の“グローバリスト”と“アンチ・グローバリスト”のその後の顛末も含め、きわめて示唆的だと思います。
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歴史社会学者の小熊英二は、『単一民族神話の起源』で、明治時代初期に行なわれた「内地雑居論争」について書いている。これは明治政府の悲願だった不平等条約改正に関る論争で、「内地雑居」というのは横浜などにあった治外法権の外国人居留地を解消し、外国人の国内居住や土地取得を自由化する「開国」のことだ。
西欧諸国は、「条約改正には居留地撤廃が前提」との立場だった。それに対して保守派は、「自由化によって日本の民族資本は壊滅し、日本人は欧米企業の低賃金労働者にされる」として強硬に「開国」に反対した。
小熊は、「開国」と「鎖国」のこの論争を、田口卯吉と井上哲次郎という二人の人物に象徴させる。
田口は大蔵省を退職後に『東京経済雑誌』を主宰した新進気鋭の知識人で、イギリス流の自由主義経済学を唱えて、当時は福沢諭吉と並ぶほどの高名を博していた。一方の井上も、帝大哲学科を卒業後、27歳で同大哲学科助教授となり、ドイツ留学から帰国して教授となった超エリートだった。
田口は明治21年の論考で、日本はアメリカのような自由主義経済国家になるべきだとして、次のように述べている。
余輩は外国人民の自由に我が内地に雑居し我が人口を増殖し我が物産を繁殖する事、米州合衆国の如くならんことを希望し決して恐れざるなり、只だ外国居留地が貿易の伸張とともに伸張し、漸く内地を蚕食し、其人民一体となりて団結し、終に我が政権を窺窬(きゆ。原義は「窓から窺う」)する事、東印度の如くならん事を患うものなり
外国人が日本国内で自由に暮らし、商売をすることは恐れない。外国人租界が拡大し、彼らが団結して日本の政治を不安定化させることを心配するのだ……。
田口はアダム・スミスやデヴィッド・リカードなどの近代経済学を正しく理解したうえで、自由な市場こそが国を富ませるのであり、外国人を隔離することは植民地化への道を辿るだけだと述べている。当時としては、驚くべき慧眼といわざるを得ない。
それに対して井上は、これも当時のヨーロッパの最先端思想だった社会進化論を援用して内地雑居の危険性を説く(社会進化論は、ダーウィンの生物進化論を社会にまで拡大したもので、国家や人種が優勝劣敗の「進化の競争」を行なっているとした)。
保守派の愛国者(国家主義者)であった井上は、「日本人は智識に於ても、金力に於ても、体格に於ても、其他百般の事に於ても、多くは西洋人に劣る事なれば、競争上常に敗を取るのは、必然の勢」だとして、内地雑居(開国)は「微弱なる童子」を「壮士と格闘」させるようなものだと述べた。井上は、日本人は“劣等人種”なのだから、保護しなければ絶滅してしまうと憂えたのだ。
それに対して田口は、日本には中国や朝鮮半島から多くの渡来人(外国人)がやって来て同化した歴史があるのだから、内地雑居を恐れる必要はないと反論した。そればかりか、「我日本人種は技芸に於ても、学術に於ても、工業農業等に於ても、決してアリヤン人種を恐るゝ所以なし」として、大英帝国の例をあげ、「我日本人種の宜く執るべき策は進取的に我同種を世界に蔓延せしむるにあるなり」と、“優等人種”である日本人が国を開くことで海外へと進出していくことを高らかにうたったのだ。
このように「開国」をめぐる二人の論争を現代の立場から見るならば、田口の先見性は際立っている。
だがこの話には、驚くべき続きがある。
日本人を“劣等人種”と見なした井上の予想に反し、日本の国力は急速に高まり、日清・日露の両戦役での勝利によって帝国列強の一角を占め、台湾を植民地とし、朝鮮を併合するに至る。
こうした歴史の大きなうねりのなかで、国家主義者である井上は「日鮮同祖論」に“転向”し、日本人と朝鮮人はもともと同じ民族なのだから、日本が朝鮮を併合するのは故郷に戻るのと同じだと主張した。
小熊の指摘するように、「日本は多民族国家だ」というのが当時の保守派の一般的な論調だった。台湾と朝鮮の併合によって“日本国民”の3割が“非日系人”になった以上、植民地政策を正当化するにはそれ以外に説明のしようがなかったからだが、日本人と朝鮮人を“同祖”とする保守派=国家主義者の主張は、天皇家が朝鮮半島から渡ってきたことを暗黙の前提とする危ういものでもあった。
それでは、井上の仇敵で日本の海外進出を当初から説いていた田口は、自らの“予言”を的中させたあと、どのような主張をしたのだろうか。
信じがたいことに、明治維新からわずか十余年で近代経済学の真髄を理解したこの超エリートは、日露戦争の勝利を受けて、「日本人の祖先は白人だ」と言い出したのだ。
田口は、当時欧米で勢いを増していた黄禍論を意識しつつ、「天孫人種(日本人の祖先)」は白色だったのであり、それが(日本列島の先住民族である)蝦夷や隼人と混血したために黄色くなったのだから、「黄人と云へるが如き悪評を排斥するに足るべし」と論じる。さらには、「日本人種の研究」という講演においては、「日本人が自ら我は黄色人種であると是認する必要はない。……堂々と、実はあるやんごとなき方の落胤であると説明するのがよひと思います」とまで述べたのだ。
この衝撃的な結末(田口はこの講演の翌年に死去した)は、“鎖国論”と同様に明治時代の“開国論”もまた、西洋に対する深い劣等意識に苛まれていたのだという苦い真実を教えてくれる。
ピンバック: TPP問題 | ミゲールさんのブログ・・・備忘録
途中まで田口卯吉氏の主張に頷きながら読み進め、最後で仰け反ってしまいました。
後ほど拙ブログでこの記事を紹介させてください。
田口氏が日清戦争以前から「日本人の祖先は白人」という考え方であったのであれば、「決してアリヤン人種を恐るゝ所以なし」と主張したのも当然かもしれません。しかし、あまりにも非科学的で卑屈です。当時としては仕方ないのかもしれませんが…
それから百数十年が経ち、曲がりなりにも経済大国となった日本において、田口氏・井上氏の論争をなぞるような主張が聞こえてくる現状は一体どうしたことなのでしょうか。
以前のエントリーにおける結語、
「そもそも、ひとは『進歩』しないのです。」
が、さらに重く感じられます。
う~ん。
田口氏の結論には唖然とさせられます。
人類の出アフリカやその後の世界への人類の拡散を知っている現代人には、両氏の意見はトンチンカンですね。
あ、TPPの議論でもそんな人たちがいましたっけ。
人類って何も進歩していないんですね。
先の「“劣等人種”と“劣等産業”」のエントリーをもう一度読み直して、以前TPPに参加すると日本の農業は壊滅すると言っている人達に質問した事があるのを、思い出しました。
私「私は農業については素人なので判らないので教えてください。日本の農業は自由競争に晒されると壊滅してしまうほど、そんなに(諸外国に比べて)レベルが低いのですか?」
相手「そうではない、安い粗悪品が出回って滅茶苦茶にされると言っている」
私「粗悪品であるなら、幾ら安くても市場では相手にされないのでは?それとも日本の消費者は 安かろう悪かろう に飛びつくだけでなく、それを選択し続ける程馬鹿なのでしょうか?」
相手「・・・」
相手の方とは会話がなかなか進まなかったのですが、私たちが本当に馬鹿(劣等)なのであれば、また、産業も本当に劣っているなら、TTP反対が合理的になってしまいますね。
TPPは若い人なんかは賛成が多く、年配のかは反対が多い気がします。
明治時代当時、両氏の主張に対し、賛成と反対とで年齢別で出した資料があれば興味深いですが。
やっぱ、自由貿易マンセーは、宗教だなや
開国で失敗した、ハワイ、フィリピン、清、その他もろもろ植民地化されたところ
を何だと思っているのか…
結局、その差の説明は何もできず、怪しげな同祖論にたどり着いたと
何かいいことがあれば信心のおかげ
悪いことがあれば信心が足りなかったから
何かいいことがあれば自由貿易のおかげ
悪いことがあれば自由貿易が足りなかったから
農産物の品質の違いが消費者にすぐわかると思ってる馬鹿もいるし
黄変米とかわかんねえよ
TPPにかかっちゃ検疫体制だってどうなるかわかんねえのに
アホが多すぎる
TPPはモノの貿易だけでなく投資やサービス業の分野も対象となっています。
薬害エイズやポリオの生ワクチン問題は、国内の製薬メーカーを保護するために国内メーカーが製造ノウハウを取得するまで、厚労省があえて海外の薬の認可を遅らせたことにあるように、日本国内には硬直した利権集団がたくさんあります。農業分野も同様です。
私は、TPP賛成論者を好意的に解釈するなら、TPPを黒船やGHQに例えて、国内の利権集団をぶち壊すために利用しようとしているのではないか、と思っていました。
橘さんの記事は、まったく別の角度から分析されていて斬新で面白かったです。参考文献の紹介ありがとうございます。
利権集団()を潰せるからTPP賛成なやつもようけおる
ようはノープランで他人の足を引っ張ることしか考えん典型的戦後日本人だな
医療は医者だけのもんじゃない
農業は農家だけのもんじゃない
いい気になって他人の足を引っ張って、これに気が付いたときには
地獄を見てるだろうな
TPP反対派をこき下ろすのはいいとして、結局TPP参加のメリットって何?
TPPの影響範囲ってものすごく広いのですが、それを全部検証した人・組織って有るの?
なんで影響が未検証なのに支持出来るの?
一体何に利点を見出しているのか本気で分からないので、教えてください。
開国とか鎖国とか、感情的な話抜きでどうぞ。
外圧がないと日本は変わらない!とか、日本人の底力はすごいから大丈夫!とかも無しで。
前回の明治時代の論争では、愛国的な“鎖国”派の主張と言うところを井上の主張とした方がいいでしょ。
劣等人種論は主流では無かったのだから。
あと関税によって守られた土壌から世界的な企業はよく産まれます。
それが国を活性化することに繋がる事もよくあります。
アメリカも保護関税によって産業を強化したしね。
他にも翼賛会の偉い人が高天原は海に沈んだムー大陸でインドネシア諸島はその名残りであり
帝国の南方進出は正当だとかいうトンデモ本を出していたり
こういうのは当時流行ってたんですかね
みんな違ってみんないいみたいな言説は僕たちの世代は聞かされすぎて嫌悪感を
催すほど 小さいころからなにかと折に触れ聞かされてきて、その反動としてつい極端な
民族主義的なことを言ったりすることが僕たちは多いんですが
これがなかった時代はこんな頭のいい人たちでもヘンテコ理論で
武装しなくてはいけない時代だったんですね
自由貿易がなければ生きられない国に住んでいるのにTPPのメリットがわからないなんてなあ。なくなってみないと空気のありがたみがわからないようなものか。
TPPのメリットとしては
・日本にとって死活的な利益である自由貿易が維持強化される。
・農産物が安くなってエンゲル係数の高い低所得者が豊かになる。
・農協や郵貯などの腐った利権団体を潰せる。
・アメリカとの経済連携を強化し安全保障を強化する。
これはどれも重要だ。違うというなら反論してみろ。
それにしても農協の工作すごすぎw
>Sさん
農協の工作というより、只の情報弱者のような・・・
だから、TPPは不平等条約に近いから反対してるんですよ。
なぜ今更、日米修好通商条約を結ぶ必要があるんですかね。
不平等条約を結ばないといけないほど今の日本は鎖国してませんよ。
TPPは農業だけじゃないですし。
TPP賛成派は21の項目すべて把握してるんですかね。
後、TPP賛成派は「すぐ」感情的になったり、工作員認定したり、口調が下品になったりするんでしょうね。
多分、反論できないからなんでしょうね。
ここにコメントされている皆さんはとても自信満々なようですのでご存知のことと思いますが、GDPを成長させる重要なファクターの一つは生産性の向上にあります。
なぜこんな話を書くのかといえば、私たちが江戸時代の人々とは異なり、インフラが整い、おいしい食事をとり、少なくとも物質的に豊かな生活ができるのはいうまでもなく、国民一人当たりの富である、GDPが非常に大きくなったためです。
そして、GDPを成長の成長の源泉は、数々の技術革新により生産性が向上したことにあります。
生産性の向上には、光と陰があります。光の面では技術革新により国民の富が増し、国民全体の福祉がしました。その結果、日本ではすべての人が江戸時代では想像も不可能だった豊かな生活を獲得しています。
一方で、陰の面として、古い技術しか持っていなかったり、資本を保有していなかったりすることで、生産性を向上させることができなかった人は、競争に破れ、失業する、という面があります。
しかしながら、国民全体の利益のため、一部の競争に敗れる人達の存在を許容することによって、我々は生産性を向上させ、豊かな生活を獲得してきました。逆に言えば、一部の競争に敗れる可能性がある人を守るために生産性を向上させる努力を怠れば、我々日本人は、江戸時代から何も変わらない、電気も水道も、車も飛行機もない生活をしていることになります。
いずれがよいかは、議論の余地はなく、国民の多数は、競争の存在を前提として、生産性を向上させる方を選ぶことは間違いありません。(多少校舎を施工する人もいるでしょうが、多数決をしたら、結果は明らかでしょう)
ここで、TTPでやたらとトピックになっている、農業について考えてみます。
結論としては、農業はTPPへ加盟しなくても、生産性を向上させなければ、産業として成立しなくなります(ほとんど消滅するということ)。
日本農業の生産性はいうまでもなく、極めて低いです。この原因は、日本の地理的な要因、経済的な要因、様々あるでしょうが、生産性が低いことは明らかです。
日本において、ほかの多くの産業では生産性が向上されてきましたが、日本農業は近年、生産性の向上がずいぶんおこらなくなっているように見受けられます。その結果、労働者にとって、日本国内で相対的に生産性に劣る農業に就労するよりも、相対的に生産性に優れる製造業などに就労する方が有利になりました。
結果として、農家の子どもたちは、農業に就労するのを辞め、工場やその他の産業に就労するようになりました。これは、「農家では食えない」ということです。そして、農業就労者の平均年齢は以上に高くなっています(すでに農業に就労している人にとっては、農地、農業ノウハウなどのアセットがあるため、自発的に他のセクターへ就労することは高コストなため)
今後、ドラスティックに農業の生産性を控除させない限り、農業は国内においても他の産業と比較して生産性が「劣等」な産業のままであり、そのような産業に新規に就労する人はきわめて少ないので、就労者の平均年齢は増加し続け、早晩、産業として成り立たなくなるのは自明である。
さらに、そのような生産性が低いセクターを国内に放置しておくことは、日本全体の生産性向上を妨げるため、国民全体の福祉を低下させています。
上記を考慮すると、日本の農業を維持するためには、TPPを考慮せずとも、生産性を他のセクター並みに向上させなければなりません。生産性が十分に高ければ、新規就労者が増えるので、産業として持続できます。
次に、TPPへの加盟による農業セクターへの影響を考えます。
そもそも、TPPの内容は決まっていないのですが、仮に、農作物への関税が0%になると考えます。
日本人に限らず、世界の多くの先進国で、国民は自国の農作物を購入することを好みますので、日本国内においては、日本の農業者は日本で生産しているという事実だけで、有利な状況にあります。そのため、少し日本の生産性が低く価格が輸入農作物よりも高いくらいであれば、日本の農作物は十分な競争力を有すると想像できます。他方、日本の生産性が著しく低く、価格が輸入農作物よりも著しく高ければ、日本の農作物は消費者の指示を失うことになります。
したがって、日本農業の生産性が低いままであれば、輸入農作物にかなりの需要が奪われ、事業を継続できず、撤退する農業者が多数発生するでしょう。他方、一定以上の生産性を確保できる生産者は事業存続が可能であると見込めます。さらに、事業を存続できた農業者は、農業から撤退した農業者の農地を利用してさらに生産性を向上させることができる可能性があります。
その結果、日本の農業セクターの生産性は向上し、GDPを増加させ、日本の富は増し、国民全体の利益となります。もちろん、消費者は農作物の価格低下というメリットを受けることができます。
その一方で、農業から撤退した農業者が多数生じます。しかし、これは、生産性の向上により生じる通常の現象であり、他のセクターと比較して農業の場合特別に保護する理由は特にありません。(実際には、ほとんどの方は高齢で年金も受け取れることができるので、社会問題となる可能性は低い)
なお、農協などが生産性の優れた農業者の足を引っ張ると、生産性の優れた農業者の生産性が低下し、結果として生産性の優れている農業者も存続できなくなります。
上記を勘案すると、実は、数十年という長期で考えた場合、日本の農業は生産性の向上を果たせなければ、産業としてなりたたず消滅するという結論は同じなのです。産業として存続したければ、生産性を向上させるしかありません。これは、経済の新陳代謝の一環ですし、いずれにしても消費者にとって有利です。
ただ、TPPに加盟すれば、新陳代謝を早めることが可能になります。誤解を恐れずいえば、TPPは強い副作用がある薬と同じです。消費者にとっては、新陳代謝が早い方が有利ですから、消費者は諸手を上げて、さっさと薬を使え!というべきです。
もちろん、副作用にやられる方々が反対するのは織り込み済みですので、ノイズに惑わされずに、国民全体の利益になる意思決定が行われることを望みます。
追記すれば、小職は現在ヨーロッパに居住しておりますが、このようなくだらない問題で日本が騒いでいることは、ヨーロッパでは全く理解されないと思います。当地の農家は、存続のため、必死に生産性の向上や新たな作物の作付けなど、非常に努力しています。日本の農業者の皆さんは、今まで手厚く保護されるがまま、低生産性、若者の離農をenjoyし、農業を産業として崩壊させてきました。恥じ入るべき行為です。これ以上、恥知らずにも国に要求する前に、自らの生産性を向上させ、若者が就農したいと思える産業に、自らを革新すべきであろうと考えます。
日本の農業が輸出産業として育ち得なかった=海外競争力を持てなかったことについてTPPから農業を守れ、と主張する人々はどう考えているのでしょうか?
もし、日本の農産物が海外輸出出来るほどの競争力を持ち得、輸出したほうが有利な状況が出現した場合でも上記の人々は食料自給を優先してくれるのでしょうか?
幕末の日本はほぼ鎖国状態=食料自給率100%
現在の日本、超円高経済大国(国内で生産するより輸入したほうが安い)=食料自給率40%
ここで問題です。
いきなり世界規模の旱魃やタイのような大洪水が起き、食料が輸入できなくなったらどうしましょう???
TPP推進派は先頭に立って飢え死にして下さい!!!!
上記の場合で食料を国外に輸出したほうが利益が得られる状況下であったなら食料は国内の40%の方に間違いなく「自給」されるのでしょうか?
自由貿易には賛成ですが、度が過ぎたTPPは好きになれません。
TPPはアメリカでも問題になったNAFTAの悪いところを受け継いでいます。
そして、大統領になる前のオバマ候補はNAFTA自由貿易協定が危険なもので支持できないことを語っています。TPP: NAFTAはウォール街の利益のみだと反対表明 オバマ大統領候補(当時)
以下のような発言をしています。貿易の合意は国民全てにとってプラスになるようすべきであるが、今のグローバリゼーションは勝ち組と負け組みを作り出し、問題は勝ち組と負け組みが毎回同じだと言っています。
メキシコ大統領、カナダの首相と会って、労働条件、環境保護条件を修正し、法的強制力を持たせるようにします。といっています。つまり ISD条項の見直しです。
NAFTAは間違い。企業利益優先は間違い。環境保護水準の保証が必要。オバマ氏出身のイリノイ州は悲惨な状態で、市全体が荒廃している。NAFTAがアメリカの労働者にとって不公平な条件になっている。(NAFTAによって、アメリカ国内の工場はみな労働力の安いメキシコに行ってしまったからです。)
旧ソ連圏の統一経済圏創設を目指す動きがあるようですね。
TPPも経済のブロック化にすぎないのなら、再び歴史が繰り返さないかと、心配になります。
>ヨーロッパでは全く理解されないと思います。当地の農家は、存続のため、必死に生産性の向上や新たな作物の作付けなど、非常に努力しています。日本の農業者の皆さんは、今まで手厚く保護されるがまま、低生産性、若者の離農をenjoyし、農業を産業として崩壊させてきました。恥じ入るべき行為です。これ以上、恥知らずにも国に要求する前に、自らの生産性を向上させ、若者が就農したいと思える産業に、自らを革新すべきであろうと考えます。<
不勉強家さん、なかなかに興味深いコメント。
私は少年期、郊外の町に住んでいたが、そこは地元農民と、近郊の工場などに勤める新参者たちの住む、日本中どこにでもある町であった。地元農民達は流ちょうな方言を使い、よそ者である私を時々悩ませたが、もっと不思議だったのは彼らがおおむね豊かだったことだ。概して大きな家に住んでいたし、当時1家庭に1台がやっとという自動車を彼らは平均2台は所有していただろう。一方、父親が工場に勤めて一家の生計を立てている友人の所に遊びに行くとアパートに3、4、人で暮らしていたりした。もちろん新参者は1から生活を始めていたのに対し、地元農民はいく世代前からの富の蓄積の上に豊かな生活を成り立たたせていたのはいうまでもない。
だがその経済格差は個人の富の蓄積のためだけでなく、税の優遇などにもよると知ったのは、私が税金を支払うようになってからだ。農家も自営業の形体をとっているところが多いと思うが、町工場の経営者よりも税の特典が多いようだ。
山崎豊子の「大地の子」の主人公、中国残留孤児の陸一心は、時の中国政府に日本へ視察に送りだされる。彼は日本の温泉地を訪れ、日本の農民たちが団体旅行で温泉に来ているのを見て大きなショックを受ける。
当時の中国で農民がそんな贅沢をできるわけがなく、いや今の中国でも農民というのは貧しい者なのである。世界的にみても大規模農業か、付加価値の高い農産物でも作って儲けていない限りお金持ちの農民というのはほとんどいない。外から日本の農民の生活を見れば陸一心でなくても驚くのだろう。
それでも高度経済成長を成し遂げた日本では製造業に従事していた者達に恩恵をもたらした。80年代後半にはアパートに住んでいた友人一家も一戸建てに住み、2台の車を所有していた。
逆に農地規制などのために、価格が上がっていく土地を売って手放すことができなかった農民はそれ以上豊かになるチャンスを逃したともいえる。
最近若者の間で農村に移り農業を志す者が増えているという。自治体が若者誘致のため用意した各種の優遇が魅力なのか、土を耕し汗水垂らすことが好きなのかわからない。一度その若者に今回のTPPについてきいてみたいものである。
>私は、TPP賛成論者を好意的に解釈するなら、TPPを黒船やGHQに例えて、
>国内の利権集団をぶち壊すために利用しようとしているのではないか
私もそうだと思います。ただそれによって得をえるのは外人たち・・・
我々はどんな業界どんな立場にいようと護送船団に守られているのでしょうか?
今日行った都市郊外のショッピングセンター求人欄を見ると、
普通に時給1000円以上の職がずらり。日本は上も下も恵まれているのでしょうね。
誰が誰を守っているのでしょうか?私には分からなくなってきました。
橘氏の書内にもあったはずですが、世界規模で同一労働同一賃金が実施されたら
やっぱり生きずらい世の中、いや生きづらい日本になるのかなと思ったり。
面白いですね
そもそも攘夷→開国
という明治政府(薩長)の思考もそうだったのかもしれませんね
相変わらず自由貿易に賛成している人間は
自由貿易を成立される為の条件を開示しない。
自由貿易にとりつかれた人間は
プロパガンダと印象論でめくら判を押させるような事ばかりしているが
日本だけが清く正しく「貧しくなる」自由貿易をしなければならない理由を
きちんと説明して欲しい。
田口さんの主張は、ネトウヨ?とかネトウヨを目の敵にする人なんかには結構有名な話です。これが、日朝同祖論なんていう、現在にまで火種を残すトンデモ理論の元になった感がありますから。
ちなみに、日本は食糧自給率は7割近くあります。私自身は農協がなんかおかしい事とか肌で感じる事がありますが、TPP自体にはちょっと疑心暗鬼です。米倉会長の会社がちゃっかり、米農薬会社と提携しているところとか、最近では車も結局、ハイブリッド技術よこせとかそんな事がボロボロとでてきてます。そんなキナ臭過ぎる所があるので。
労働力の流入については、過度の流入についてははっきり言って反対です。現在の外国人の犯罪率や、とりわけビザを緩和した国の外国人が多い事が問題だと思いますし、現在でも若年層の失業率がいよいよ欧米・韓国の水準になりつつあるというのに、格差が余計開いてしまうのではとの危惧があります。