原爆目撃者に「心の被ばく」 国立精神・神経医療研究センター調査
長崎、半世紀後も不安症状
1945年8月9日の長崎原爆で、健康被害が出るほどの放射線被ばくはないと国がしている地域で原爆を目撃した人の多くは、半世紀を経ても精神疾患の危険性が高いとの調査結果を、国立精神・神経医療研究センター(東京都小平市)のチームがまとめた。
目に見えない放射性物質への不安を心理的被ばくと位置付け、その状態が長期間続く現状を示した。東京電力福島第1原発事故では低線量被ばくによる健康被害が懸念されている。被ばくがないとしても手厚い心のケアが求められそうだ。
原爆と精神疾患をめぐっては、国が定めた被爆地域外にいた「被爆体験者」に対し「被爆体験による精神疾患」を認めているが、チームによると、心理的被ばくに着目した研究は少ないという。
チームは、うつ病など心に問題を抱える傾向があるかを調べる目的で2001年に長崎県で実施した調査をあらためて検証した。調査対象は長崎市内の爆心地から半径12キロ圏内に住み、爆音や光を経験したものの放射線による身体への健康被害はなかったとされる地域の約350人。
「いらいらして怒りっぽいか」「自分は役に立たないと考えたことはないか」といった質問への回答から、精神疾患の危険性が高い人は約75%に上ると判明。原爆投下の5〜15年後に同じ地域に移住してきた約280人では約40%だった。
また性別や年齢、学歴などでは精神状態に違いが見られなかった一方、「爆発の光と放射線は別のもの」「放射線は時間の経過とともに弱まる」といった正しい科学的知識が乏しいことと、精神疾患の危険性と関連があることも分かった。
長崎原爆の被爆者援護 国は、原爆が投下された時に爆心地近くにいたり2週間以内に2キロ圏内に立ち入ったりし、被爆者健康手帳の交付を受けている人を「被爆者」と定義。医療費の自己負担分を原則無料とするほか、原爆の放射線が原因でがんや白血病といった病気になると原爆症と認定し、月額約13万6500円の医療特別手当を支給する。爆心地から12キロ圏内で原爆に遭ったが、旧長崎市を基に国が定めた被爆地域やその後拡大された特例区域の外側にいた人は「被爆体験者」として、精神疾患とその合併症に限り医療費が支給される。
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