クーロンの法則
<本編>
| 1. クーロンの法則を導く |
高校生の頃クーロンの法則というものを習った。思い起こせばこれも理解できなかった。分子間力のセクションで生体高分子間の分子間力が電磁気に由来することを述べた。もう一度クーロンの法則を復習してみよう。これは距離r隔てた二つの電荷(Q,q)に働く力を示した法則であり、以下のようなときに
− +
電荷q ●← 距離 r
→●電荷Q
力Fが
Q・q
F =k・―――― (kは定数) (1)
r2
になるという法則だ。しかし、ここで読者の方々は疑問をもたれなかったでしょうか?何故、この力は距離の2乗に反比例するのか?
何故、距離の1乗に反比例したり、距離の3乗に反比例しないのかと?
これではこの式を憶えていなければ計算問題が解けないではないか!実際に私はほとんど解けなかった。こんなことを最近やっと理解できた。図に書いてみるとこれがよく分かる。
いま簡単のために、2物体の電荷を1と仮定する。つまり緑の物体(電荷1)と赤の物体(電荷1)が距離rでもって電磁気力で引き合っていると仮定する。このとき力は下図のように緑の原点から空間全体に広がっていることになる、力は緑から放射しているので距離
r 離れているとその力
F は図のように球体の面積に広がり、その力の密度は面積に反比例する。これは照度と距離の関係と同じである。ある場所の照度は電燈からの距離の2乗に反比例する。我々の視覚もそのように照度を捉えることができる。
さて、これを定式化してみよう。内側の球の半径を1とし、力線の分布個数をf(ヶ/cm2)とする。外側の球の半径をrとし、力線の分布個数をF’(ヶ/cm2)とする。
ここで力線の個数は内球と外球では同じだから
力線の総和一定 = k(定数)・f・内側の球体の面積=k(定数)・F’・外側の球体の面積 (2)
球体の表面積は4πr2だから(付録1A・付録1B)
力線の総和一定= k(定数)・f・4π12=k(定数)・F’・4πr2 (3)
(3)式の後の2項から
f
F’=k・――― (4)
r2
(3)式の前の2項から
力線の総和一定
f =―――――――― であり、これは定数なので
4π
1
f=――― とする (5)
4πε
(4), (5)から
1 1
F’=―――・―――
(6)
4πε
r2
ここで、電荷1の仮定をはずして、電荷がQとqの場合へ比例させると
1 Q・
q
F’=―――・――――
4πε
r2
ここで力は力線の分布に比例するから、力F∝F’。比例定数はKとして
Q・
q 1
F =K・―――― , K =―――
(7)
r2
4πε0
のクーロンの法則が得られる。重要なのは定数 1/4πε0を憶えることでもなければ、電荷qでもQでもない。逆自乗の法則であることが分かればこれらは自然に導ける、つまり力線が描けるかどうかだと思う。30年目にしてやっと納得できた。
■ 『高校数学でわかる
マクスウェルの方程式』 竹内 淳
著 講談社ブルーバックス(2002年)
――逆自乗の法則について。
■
『物理数学の基礎』 香取眞理・中野 徹 著 サイエンス社(2001年)
■
『日常の数学事典』 上野 富美夫 著 東京堂出版(1999年)
| 付録1=球体の面積の求め方 |
| [球体の表面積] 極座標を使った求め方 極座標についてはコンテンツの極座標変換にても説明したが、 極座標とx,y,zの直交座標との関係1:1であり、下図のように表せるので x, y, z はそれぞれ x = r sinθcosφ y = r sinθsinφ z = r cosθ となり、全空間は r を0からr まで、θを0からπまで、φを0から2πの範囲で得られる。 いま、ここで球面について下図のように微小面積を考える。図では緑色で囲まれた面積になる。 いま球体の面積素片は微小部分では長方形とみなせるので、(r sinθdφ) x (r dθ) ds =r 2sinθ dθ・dφ 従って、球面の全体面積は、θについて0からπまでφについて0から2πまで順番に積分していけば 求められる。 球の面積 [証明終わり] |
B. その(2)球の体積を利用
@アルキメデスの方法およびA極座標を使用して二通りの方法で球の体積を求め、それから球の表面積を求める。
| @ アルキメデスの方法 |
| まず、これは一般にアルキメデスの方法と呼ばれている求積法から。 下図において正方形PQRSを考える、Pを中心としてPQ,PSを半径として4分の1円QGSを を描き、さらに、中心Pから対角線PRを引く。 ここで直線PSを軸として1/4円を回転する。正方形PQRSは円柱をつくり、弧QGDは半球 をつくる。いま軸PS上に任意の点Eをとり、PQに平行にEFGHの直線をひく、また非常に近傍のΔh 離れた場所にEFGHと平行の直線をひく、これらの二直線も直線PSを軸として円形を回転する。 いま、これら回転した図形の体積を求めることに注目する 方針として、πEG2とπEH2 の関係が分かれば円柱と球の体積の関係がわかる ここでピタゴラスの定理を△EPGに適用する、 EG2+EA2=PG2 (1) ところで、PRは正方形の対角線だから∠EFA=∠EAF=45°つまりEP=EF これを(1)式に代入して EG2+EF2=PG2 (2) 一方、線分PGは円(球)の半径だから PG=PB=EH これを(2)式に代入して EG2+EF2=EH2 (3) ここで(3)の両辺にπ・Δhをかける。 π・Δh・EG2+π・Δh・EF2=π・Δh・EH2 (4) これらは非常に近くに引いた平行線で囲まれた図形をPSを軸に回転した体積を表している したがって 半径EF円柱の体積+半径EG円柱の体積=半径EH円柱の体積 上式はPS上のEがどこでも成り立つのでΔhを微小の量としてこれをPからSまで加算していきます。 すると(4)式は 円錐の体積+半球の体積=円柱の体積 ∴ 半球の体積=(円柱の体積)−(円錐の体積) いま、円錐の体積は円柱の体積の1/3である(付録2A参照)から。 2 半球の体積=―――円柱の体積 (5) 3 半径rの球に接する円柱の体積は2r・πr2 なので、全球の体積(半球を2個合わせる)はこれに2/3を かけた値となり 4 球の体積=―――πr3 (6) 3 |
| A 極座標を使かう |
| 極座標表現を用いれば、いま球体の体積素片は面積素片に
dr(厚さ)をかけたものだから、 dv =r 2sinθ dr・dθ・dφ 球の体積は、r について0からr まで、θについて0からπまでφについて0から2πまで順番に積分していけば 求められる。 球の体積 |
| 以上@Aのふたつの方法で球体の体積が 4 ―― πr 3 3 になることを示した。表面積を半径rについて0からrまで積分すればは体積になる。これは イメージとしてが玉ねぎが多くの皮でできていることを考えれば納得がいく。球の表面積をS(x) とすれば、 4 r 球の体積=―――πr3=∫S(x) dx 3 0 従って上式を微分すれば球の表面積S(x)が求まる 4 球の表面積S(x)=d(――πr3)/ dr 3 ∴ 球の表面積S=4πr2 [証明終わり] |
| 付録2=付録1の前提 |
| 証明 下図のような一般的な円錐を考え、円錐の体積は頂点からxの距離にある底面の面積S(x)をまず求める。 円錐の体積はこのような図形を頂点の0から底面までの距離hまで積分することで得られる。 円錐の頂点からhの距離にある底面の面積をS底面 とすれば 相似の関係から h2 : x2 = S底面 : Sx の式が導かれる。これは以下のようにして求められる 下図のような相似の図形を考える。回転して得られる図形についてrを小円の半径、Rを大円の半径とする。 tanΘ=r+α/x=R+β/h tanψ=α/x=β/h r:R =x(tanΘ−tanψ):h(tanΘ−tanψ) ∴ r:R =x:h h2:x2 =r2:R2 ∴ h2 : x2 = S底面 : Sx この関係が分かれば x2 S(x) =―――・ S底面 (1) h2 (1)は最初の図における底面積の関係を示すが、これを回転体の体積にするには両辺をxについて0からh までの積分をとればよいから h h x2 ∫S(x) dx=∫ ―――・S底面 dx 0 0 h2 1 h =[―――・x3S底面] 3h2 0 h3 =―――・S底面 (2) 3h2 S底面=πR2 を代入して h πhR2 ∫S(x) dx=――― (3) 0 3 円柱の体積は高さx底面積=hπR2 1 (円錐の体積)=―――・(円柱の体積) 3 したがって、円錐の体積は円柱の1/3となる。 [証明終わり] |
| 円の面積は限りなく円を図のように切って貼り合わせることで求めることができる。 まず円周率πの定義を思い出そう、円周を直径で割った値がπである。すなわち半径を r とすれば π=円周/2r すなわち 円周=2πr になる 上図のようにここで円をn等分にはさみなどを用いて切り取り、矢印にしたがって貼り合わすことができる。 図のように非常に平行四辺形に似た図形が得られる。 ここでさらに、切り取る個数を無限にする。 このとき切り貼りにより得られる図形は元の図形が半径
r 円周が2πr だから、縦が r 横が πr の |