ミサイル指針:韓国では規制の固体ロケット、日本では許容

日本は1950年代から開発に着手

 今年5月18日に日本はH2Aロケットで韓国のアリラン3号衛星を宇宙に打ち上げ、世界の衛星打ち上げ市場へ本格的に参入した。

 H2Aロケットは、1960年代後半に米国の液体燃料ロケット「デルタロケット」の技術を導入して開発された。しかし、ロケットの推進力を高めるブースターは日本が独自の技術で開発した固体燃料ロケットの「M-V」がベースになっている。これによって液体ロケットだけの場合よりも強い推進力が得られるようになった。

 日本の固体ロケット開発は、1950年代に東京大学の糸川教授の研究により始まった。東京大学は1970年に固体ロケットを使って日本初の人工衛星「おおすみ」を衛星軌道に乗せた。これによって日本は、自国のロケットで人工衛星を打ち上げる世界で4番目の国となった。日本の固体ロケットは2000年代にはM-Vに発展し、03年には小惑星探査機「はやぶさ」の打ち上げにも成功した。

 固体ロケットはいつでもミサイルへの転用が可能だ。日本は開発初期のころ米国の疑念を解消するため、固体ロケットを常に対角線に打ち上げた。ミサイルのような誘導システムなしに人工衛星を軌道に乗せるには、対角線に打ち上げなければならないからだ。後に誘導システムも開発されたが、対角線に打ち上げる慣習はその後も続いた。つまり兵器として開発する考えがないことを強調したのだ。また固体ロケットには常に科学的研究用の小型衛星を搭載した。大型の衛星を積めば、そこにいつでも弾頭を搭載できることから、これによって軍事用との疑惑を払拭(ふっしょく)することができた。

 M-Vロケットは8号まで製造された段階で開発が中断された。M-Vは構造が単純で打ち上げが容易という強みはあったが、経済性に欠けると判断されたからだ。重さ4トンから6トンの衛星を打ち上げることのできる液体ロケットH2Aの開発費用は90億円だが、M-Vは1.8トンの衛星しか搭載できないにもかかわらず75億円もの費用を要したからだ。その後、日本はM-Vを液体ロケットH2Aの補助ロケットとして利用する一方、さらに小型のイプシロンロケットの開発にも取り組んでいる。1.2トンの衛星を打ち上げられるこのロケットの開発費用は30億円で、経済性にも優れている。

 これに対し、他国からは「日本は世界でもトップレベルの液体ロケット技術を持っているのに、あえて固体ロケットの開発を続けるのは、軍事用への転用を目指しているからではないか」などと疑問の声も上がっている。

李永完(イ・ヨンワン)記者
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