東日本大震災:福島の山、泣いている 茂る雑草、とける苗木 除染進まぬ大熊の森林を歩く
毎日新聞 2012年08月17日 東京朝刊
双葉郡を管轄する林野庁磐城森林管理署などによると、双葉郡は全体の約8割を森林が占め、その広さは6万5178ヘクタール。昨年度に予定していた約300ヘクタール分の苗木の下草刈りは実施できなかった。
樹木が枯れると地盤が緩み、土砂崩れや鉄砲水を引き起こす可能性が高まる。川内村役場職員として40年余、林業畑を歩んだ秋元組合長は、人の手の入らなくなった山の惨状を何度も目にしてきた。
「汚染物質は山から人里へ、川へ、そして海へいく。だから、山の除染は必要だ。だが、道のない山奥に分け入るのも大変なのに、樹木を一本一本洗浄したり、土壌をはぎ取るなんてできっこないのは、俺らが一番よく分かっている」と語り、続けた。「荒れゆく山をどうするのか。住民の帰還が進むにつれ、それが心配だ」
組合は、事故前まで引き受けていた郡内の森林管理の仕事を失った。森林除染が対象外となりつつあり、将来も見通せなくなった。
“とけゆく”苗木のそばで線量を測ると、毎時40マイクロシーベルト強。国が年間累積被ばく線量の目安とする1ミリシーベルトを1日で超える数値だ。「こんなに高くて、ごめんな。どうにもできなくて、ごめんな」。苗木に語りかけ、山に向かって頭を下げた。
==============
■ことば