◇セーフウェーC <最終日>
通算13アンダーで初優勝を決め、ガッツポーズする宮里美香=パンプキンリッジGC(AP=共同)
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▽19日、米オレゴン州ノースプレーンズ、パンプキンリッジGC(6611ヤード、パー72)▽曇りのち晴れ、気温25度、弱風▽賞金総額150万ドル、優勝22万5000ドル▽76選手
【ノースプレーンズ(米オレゴン州)テッド・ムース】単独首位からスタートした宮里美香(22)=NTTぷらら=が、3バーディー、1ボギーの70で回り通算13アンダーとし、初日からのトップを守る完全優勝でツアー初優勝を飾った。ジュニア時代からのライバル・曽雅〓(台湾)の背中を追って米ツアーに本格参戦して4年目、79試合目での達成。米ツアー出場資格を持つ日本人選手としては8人目のVで、22歳10カ月は2009年エビアン・マスターズを24歳で制した宮里藍(27)=サントリー=を抜いて最年少となった。今季の賞金総額を84万ドル余りとし、賞金ランキング8位に浮上。世界ランクも19位から一気に10位に上がった。
30センチのウイニングパットを沈めた美香は、右拳を2度振ったあと、天を向いて、こぼれ落ちそうになる涙を手でぬぐった。待望のVシーン。「あの短いパットでもすごく手が震えました。達成感がすごくあって、信じられないのと、うれしいのと、ごちゃ混ぜになって、涙が出ました」。待ってくれていた同郷の先輩・藍と上田桃子が水を掛けて祝福。「すごくうれしかった」と素直に喜んだ。
前半の6、8番でバーディーを奪い、2位との差が3打に開いたものの、油断からか10番をボギーにし、流れが悪い方に傾きかけた。だが、11番パー3で、右に出た第1打が池の石で跳ね、グリーン横のラフに戻ってきた。この時「神様がついてくれているなと思った」という。8メートルのパーパットを沈めてガッツポーズ。さらに、17番で花道からの2打目を1メートルにつけてバーディー。2位に2打差をつけ、勝負を決めた。
中学時代に最年少記録を重ね、高校卒業後、日本ツアーか米ツアーかと迷っていた。ジュニア時代のライバル、曽雅〓(台湾)が2008年全米女子プロで優勝したのを見て、米ツアーを選んだ。ライバルが活躍して世界ランク1位になっても、米フロリダ州のIMGアカデミーで練習を重ねてきた。経費節減のために飛行機を使わずに車で移動したこともある。昨年からはマネジャーをつけず、キャディーと2人で転戦。玄米のおにぎりを作るため、炊飯器を抱えて移動を続けた。
勝てない美香を支えたアカデミーのメンタルコーチからは、「自分を100%信じて打つこと」と言われ、6月以降は手袋に「100」と書いて戦った。もちろん、この日も「書いてました」。周囲の支えと自身の努力がついに実ったこの日、これまで何度も流してきた悔し涙をうれし涙に変えた。
そのメンタルコーチからは2週前に「優勝スピーチで言うことを考えなさい」と、イメージトレーニングの助言をもらった。表彰式では「英語は自信がない。でも皆さんに感謝してます」と堂々と英語でスピーチ。待望の1勝目を挙げ、「完全優勝できたのはすごく自信になった。また違うパターンで勝てたらいいなと思う」と、さらなる高みを見すえた。
※〓は女へんに尼
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