大迷惑! その衝撃はギリシャ、スペイン危機どころではない。資本と経営が借り物だから不安定…
成長率4%台へ急降下! ついに始まった「一輪車経済」崩壊が世界を奈落の底へ道連れにする
(SAPIO 2012年8月1日・8日号掲載) 2012年8月20日(月)配信
文=浜矩子(エコノミスト)
図体はやたらとデカイが、その姿は歪で不安定それが中国経済だ。勢いよく走っているうちはいいが、いったんよろけ始めると、世界経済の足を引っ張り、奈落の底へ道連れにしかねない。同志社大学大学院教授の浜矩子氏がユーロ危機より怖い中国経済崩壊の可能性を分析する。
私は以前から中国経済のことを「一輪車経済」と呼んできた。ひたすら成長することで繁栄と安定を確保し、やっとのことでバランスを取っている、という意味である。まさに曲芸的で、車輪の回転が速ければいいが、遅くなれば不安定になり、倒れてしまう。
これまで中国は投資と輸出という2つのエンジンをフル回転させて「一輪車」を高速運転してきた。ところが、ここへきてその2つのエンジンの回転が鈍くなりつつある。
2008年の北京五輪、10年の上海万博の開催でインフラ整備へ巨額投資を行なってきたが、その種の“ネタ”は尽きている。また、08年9月にリーマン・ショックが起こると、2年間で4兆元(当時のレートで約57兆円)もの財政出動を行なったが、過剰流動性によってインフレが起きてしまい、今、巨額の財政出動はやりにくい。
輸出も欧州危機の影響が顕著だ。07年以降、EUは中国にとって最大の輸出市場であり、中国の輸出全体に占めるEU向けのシェアは20%に及ぶ。それだけに欧州危機の影響は大きく、今年1〜5月の累計で、中国からのEU向け輸出は前年同期比で0・8%減。その影響で輸出額全体は前年同期比で8・7%増にとどまった。11年通年で20・3%増だったことを考えると減速は明白だ。
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